犬の下痢にバナナは効果的ですか?という質問を良く頂きます。結論から申し上げると犬の下痢にバナナが効果があるとは言えません。
しかし、普段柔らかい便をする犬には便の硬さを調整する意味合いで使用することはできます。この記事では、バナナを愛犬に与える際の注意点についてもまとめていますので、是非ご確認ください。
そもそも犬はバナナを食べられる?
バナナは皮を剥いて小さくカットしてあげれば与えても問題ありません。バナナの皮を剥いた際に出てくる白い筋を捨てていらっしゃる方も多いかと思いますが、白い筋は抗酸化作用を持つポリフェノールが多く含まれ栄養が満点です。
バナナのこの白い筋は、栄養素や水分を運ぶ通り道となっているため、栄養素が多く残っていると考えられています。しかし、与える際は小さくカットして食べやすいようにしてあげてください。
また、バナナチップなどバナナの加工品は糖分を多く含むだけではなく、カロリーが高いため与えることをおすすめしません。
・バナナは皮を剥いて小さくカットしてあげれば与えても問題なし。
・白い筋は抗酸化作用を持つポリフェノールが多く含まれ栄養が満点
・バナナの加工品は糖分やカロリーの観点からおすすめしない。
バナナの犬に対する有効成分と効能
バナナはビタミンやポリフェノールを含み、栄養分が豊富な食べ物です。ここではバナナ(生)の栄養成分と犬に対する効果を説明します。
100g中に含まれる食品成分(文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより)
エネルギー | 93kcal |
水分 | 75.4g |
タンパク質 | 1.1g |
脂質 | 0.2g |
炭水化物 | 22.5g |
灰分 | 0.8g |
ビタミンC
ビタミンの中でも強い抗酸化作用を持ち、免疫力を維持する働きが期待できます。また、犬の皮膚や関節に重要な成分であるコラーゲンとの関わりが強いと言われており、皮膚や関節の健康維持も期待されています。
ビタミンB6 (ピリドキシン酸)
ビタミンB6は、欠乏すると神経系や血液に異常が生じて、てんかんや貧血などを引き起こす恐れがあります。また、皮膚の新陳代謝に関わるビタミンでもあるため、皮膚や被毛の健康維持に役立ちます。
食物繊維
食物繊維は小腸で消化・吸収されずに大腸まで到達し、便を柔らかくしたり大腸を刺激することで排便を促す効果が期待できます。また、食物繊維の食べ過ぎは下痢の原因にもなりますので注意してください。
ポリフェノール
ポリフェノールはビタミンC以上に抗酸化能力が高く、免疫力を維持する働きが期待できます。また、歯周病の原因となる細菌の成長抑制や腎臓病・心臓病の予防にも効果が期待できます。
カリウム
カリウムは神経系の働きに重要な役割を持つミネラルです。過剰なナトリウム(塩分)を体外へ排出することで、血圧を安定させる効果もあります。
バナナの犬に対する有効成分
・ビタミンC
・ビタミンB6
・食物繊維
・ポリフェノール
・カリウム
犬の下痢にバナナは効果的?
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。バナナ100gには0.1gの水溶性食物繊維と1.0gの不溶性食物繊維が含まれています。
水溶性食物繊維は体内で水に溶けてゲル状になり便を柔らかくします。そのため、水溶性食物繊維を摂りすぎると下痢になりやすいです。
一方で、不溶性食物繊維は、便の量を増やして大腸を刺激することで排便を促します。そのため、不溶性食物繊維を摂りすぎると便秘になりやすいです。
以上のことから、不溶性食物繊維を多く含むバナナは、食べすぎると下痢ではなく便秘になりやすいと言えます。しかし、普段から軟便の犬には便の硬さを整えるという意味で与えても良いでしょう。
犬の腸内環境を整える働きは?
不溶性食物繊維を多く含むバナナですが、犬は草食動物のように発酵槽を持たないため、不溶性食物繊維はすぐに大腸を通過してしまい、善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える効果は発揮し難いと言われています(※)。
そのため、バナナは不溶性食物繊維を多く含むため、腸内環境を整える働きはあまり期待できません。
※ 石岡 克己 (2021) “犬と猫における消化器疾患と栄養”
犬にバナナを与えると下痢になる?
・バナナには不溶性食物繊維が多く含まれています。
・不溶性食物繊維は、便の量を増やして排便を促すため便秘になりやすい。
・不溶性食物繊維を多く含むバナナは、食べすぎると下痢ではなく便秘になりやすい。
・普段から軟便の犬には便の硬さを整えるという意味で与えても良い。
犬のこんな下痢にバナナはNG
普段から軟便の犬には便の硬さを整えるという意味で与えても良いと説明しましたが、軟便ではなく明らかな下痢症状である場合は病気やウイルス感染などによる下痢の可能性があります。
そんな下痢の際は食事での改善ではなく、必ず動物病院に相談してみることをおすすめします。
こんな時は動物病院に相談
・下痢を何日も続いている
・かなり水っぽい下痢をしている
・血が混ざっていたり、色が黒い便をしている
・体重が減少している
犬にバナナを与える際の注意点
腎臓や心臓に疾患がある犬
バナナは果物の中でもカリウムを豊富に含んでいます。愛犬の腎臓機能に疾患があるとバナナに含まれるカリウムが溜まりやすくなり、不整脈など心臓に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、愛犬に腎臓や心臓に疾患がある場合は注意しましょう。
肥満や糖尿病の犬
バナナは糖質が高く、摂りすぎることで血糖値を下げるためインスリンが分泌されます。そのため、肥満や糖尿病の犬はなるべく食べないほうが良いです。
バナナを冷やし過ぎない
特にお腹の弱い犬に注意して頂きたいのが、冷やし過ぎないことです。冷えた食べ物は犬にとって胃腸の負担となるため、下痢の原因になります。温度は出来るだけ常温に近づけてから食べさせてください。
バナナを与える量
バナナは100gあたり93kcalのエネルギーを含みます。そのため、与えすぎることでカロリー過多とならないように注意しましょう。
犬は体型や活動量など、個体によって1日に必要なカロリーが異なります。愛犬が1日に必要なカロリーを把握することで、おやつや食事の量を適切にコントロールしてあげましょう。
▼愛犬の1日に必要なカロリーを知るには下記記事がオススメです。
バナナを与える際の注意点
・腎臓病や心臓病の犬
・肥満や糖尿病の犬
・バナナを冷やしすぎない
・バナナを与える量
まとめ
・犬の下痢にバナナが有効ですか?という質問を良く頂くため、栄養学的な観点でまとめました。
・バナナにはビタミンC、ビタミンB6、食物繊維、ポリフェノール、カリウムが含まれています。
・不溶性食物繊維を多く含むバナナは、食べすぎると下痢ではなく便秘になりやすいと言えます。
・普段から軟便の犬には便の硬さを整えるという意味で与えても良いでしょう。
・下痢が続いている場合やかなり水っぽいひどい下痢をしている場合は、まずは病院に相談することをおすすめします。
・バナナは腎臓や心臓に疾患がある犬には注意してください。また、バナナを冷やしすぎることで、下痢を引き起こす可能性があるので温度管理に注意してください。