犬の下痢にりんごが効果的!?栄養学的にペット栄養管理士が解説

犬の下痢にりんごが効果的!?栄養学的にペット栄養管理士が解説おすすめ
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ペット栄養管理士_高山裕紀

高山裕紀
ペット栄養管理士

犬の下痢にりんごは効果的ですか?という質問を良く頂きます。結論から申し上げると犬の下痢にりんごは効果があります。

しかし、下痢の状態によっては逆効果にもなりますので、りんごを愛犬に与える際の注意点を必ず確認して下さい。

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そもそも犬はりんごを食べられる?

そもそも犬はりんごを食べられる?

りんごは芯と種を取り除いて小さくカットしてあげれば与えても問題ありません。りんごの皮も取り除いている方が多いかと思いますが、りんごの皮にはポリフェノールが豊富に含まれています。

しかし、無農薬のりんごでない場合は、しっかりと洗ってから与えてあげてください。

また、ジャムやジュースなどのりんごの加工品は糖分を多く含むだけではなく、カロリーが高いため与えることをおすすめしません。

そもそも犬はりんごを食べられる?
・りんごは芯と種を取り除いて小さくカットしてあげれば与えても問題なし。
・りんごの皮にはポリフェノールが豊富に含まれている。
・りんごの加工品も糖分やカロリーの観点からおすすめしない。

りんごの犬に対する有効成分と効能

りんごの犬に対する有効成分と効能

りんごはビタミンやポリフェノールを含み、栄養分が豊富な食べ物です。ここではりんご(皮付き、生)の栄養成分と犬に対する効果を説明します。

100g中に含まれる食品成分(文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより)

エネルギー56kcal
水分83.1g
タンパク質0.2g
脂質0.3g
炭水化物16.2g
灰分0.2g

ビタミンC

ビタミンの中でも強い抗酸化作用を持ち、免疫力を維持する働きが期待できます。また、犬の皮膚や関節に重要な成分であるコラーゲンとの関わりが強いと言われており、皮膚や関節の健康維持も期待されています。

食物繊維

食物繊維は小腸で消化・吸収されずに大腸まで到達し、便を柔らかくしたり大腸を刺激することで排便を促す効果が期待できます。また、食物繊維の食べ過ぎは下痢の原因にもなりますので注意してください。

ポリフェノール

ポリフェノールはビタミンC以上に抗酸化能力が高く、免疫力を維持する働きが期待できます。また、歯周病の原因となる細菌の成長抑制や腎臓病・心臓病の予防にも効果が期待できます。

カリウム

カリウムは神経系の働きに重要な役割を持つミネラルです。過剰なナトリウム(塩分)を体外へ排出することで、血圧を安定させる効果もあります。

りんごの犬に対する有効成分
・ビタミンC
・食物繊維
・ポリフェノール
・カリウム

犬の下痢にりんごは効果的?

犬の下痢にりんごは効果的?

食物繊維には水溶性食物繊維不溶性食物繊維があります。りんご100gには0.4gの水溶性食物繊維と1.0gの不溶性食物繊維が含まれています

腸内には善玉菌、悪玉菌、日和見菌といった菌が存在し、それぞれのバランスが崩れると下痢になりやすくなります。下痢になりにくい腸を作るためには善玉菌を増やすことが大切になってきます。

水溶性食物繊維は摂取することで善玉菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあります。そのため、りんごは腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には効果が期待できると言えます。

また、りんごは不溶性食物繊維も豊富に含むことから、普段から軟便の犬には便の硬さを整えるという意味で与えても良いでしょう。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は体内で水に溶けてゲル状になり便を柔らかくします。また、善玉菌のエサとなることで、犬の腸内環境を整える効果が期待できます。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維は、便の量を増やして大腸を刺激することで排便を促します。しかし、犬は草食動物のように発酵槽を持たないため、不溶性食物繊維はすぐに大腸を通過してしまい、善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える効果は発揮し難いと言われています(※)。

※ 石岡 克己 (2021) “犬と猫における消化器疾患と栄養”

犬の下痢にりんごは効果的?
・下痢になりにくい腸を作るためには善玉菌を増やすことが大切
・りんごに含まれる水溶性食物繊維は腸内環境の乱れが原因による下痢に効果的
・軟便の犬には、りんごに含まれる不溶性食物繊維が便の硬さを調整

犬のこんな下痢にりんごはNG

犬のこんな下痢にりんごはNG

腸内環境の乱れにより下痢をしやすい犬には、下痢になりにくい腸内環境を作る目的でりんごを与えることは良いです。

一方で、愛犬の下痢が続いている場合かなり水っぽい下痢をしているなど、下記の症状がある場合は病気やウイルス感染などによる下痢の可能性があります。

そんな下痢にりんごは決して有効ではありません。必ず動物病院に相談してみることをおすすめします。

こんな時は動物病院に相談
・下痢を何日も続いている
・かなり水っぽい下痢をしている
・血が混ざっていたり、色が黒い便をしている
・体重が減少している

犬にりんごを与える際の注意点

犬にりんごを与える際の注意点

腎臓や心臓に疾患がある愛犬には注意

愛犬の腎臓機能に疾患があるとりんごに含まれるカリウムが溜まりやすくなり、不整脈など心臓に影響を及ぼす可能性があります。

肥満や糖尿病の愛犬には注意

りんごの糖質は果物の中だとやや多いため、血糖値を下げるためインスリンが分泌されます。そのため、肥満や糖尿病の犬はなるべく食べないほうが良いです。

消化機能が弱い子犬やシニア犬には注意

消化機能が弱い犬にりんごを与えると、下痢を引き起こす可能性があります。そのため、消化機能が弱い傾向のある子犬やシニア犬には注意して与えてあげてください。

りんごを冷やし過ぎない

特にお腹の弱い犬に注意して頂きたいのが、冷やし過ぎないことです。冷えた食べ物は犬にとって胃腸の負担となるため、下痢の原因になります。温度は出来るだけ常温に近づけてから食べさせてください。

りんごを与える量

りんごは100gあたり56kcalのエネルギーを含みます。そのため、与えすぎることでカロリー過多とならないように注意しましょう。

犬は体型や活動量など、個体によって1日に必要なカロリーが異なります。愛犬が1日に必要なカロリーを把握することで、おやつや食事の量を適切にコントロールしてあげましょう。

▼愛犬の1日に必要なカロリーを知るには下記記事がオススメです。

りんごを与える際の注意点
・腎臓病や心臓病の犬
・肥満や糖尿病の愛犬
・消化機能が弱い子犬やシニア犬
・りんごを冷やしすぎない
・りんごを与える量

まとめ

犬の下痢にりんごが有効ですか?という質問を良く頂くため、栄養学的な観点でまとめました。
・りんごにはビタミンC、食物繊維、ポリフェノール、カリウムが含まれています。
・りんごを食べることで食物繊維による整腸作用が期待できますが、食べ過ぎは下痢の原因になるため注意してください。
・下痢が続いている場合やかなり水っぽいひどい下痢をしている場合はりんごを与えず、まずは病院に相談することをおすすめします。
りんごは腎臓や心臓に疾患がある犬には注意してください。また、消化機能が弱い子犬やシニア犬は下痢を引き起こす可能性があるので注意してください。

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