猫は家族の一員として、多くの愛とケアを受けていることも増えてきました。しかし、愛猫が太らないでガリガリの状態になるのは、飼い主にとって大きな悩みとなります。この記事では、愛猫がガリガリでなかなか太らないのが心配な方向けに猫の体重問題の原因と対策について、ペット栄養管理士の見解を交えながら解説します。
猫が太らない原因
まず、猫が太らない理由は様々です。以下に主なものを挙げてみましょう。
食事の問題
猫は犬と比較しても特定の食事の味や質により敏感であり、自分の好みに合わない食事は避ける傾向があります。また、同じキャットフードやご飯に飽きたり食べにくいという理由でもなかなか食べないこともあります。そのため、食べないことで栄養が足りず痩せてしまう可能性がございます。
また、食欲があるのに体重が減少する場合は、過剰な運動やストレスにより、猫が消費するエネルギーが摂取するエネルギーを上回ることや、食事が猫のカロリー需求を満たしていない場合には、体重減少の原因となります。
運動もそこまでしておらず、カロリーも十分とっているのに減少する場合は病気やストレスの可能性もあります。
病気の可能性
猫が太らないでガリガリの状態になるのは、潜在的な病気の兆候である可能性があります。例として以下の病気が関係している可能性があります。
- 甲状腺機能亢進症
- 糖尿病
- 消化器系の病気
甲状腺機能亢進症は、猫の甲状腺が過剰にホルモンを分泌する状態を指します。この病気は主に中高齢の猫に見られ、食欲増進/体重減少/行動の変化(神経質や過剰な活動)/高頻度の尿/下痢や嘔吐/心拍数の増加などの症状がみられます。
糖尿病は、猫の体がインスリンを十分に生成または適切に使用できない状態を指します。インスリンは、血糖値を制御するために必要なホルモンです。
消化器系の病気の治療は原因に依存しますが、特別な食事、薬、または場合によっては外科手術が必要となることもあります。
これらの病気は、それぞれ異なる治療法と対処法を要求し、獣医師の診断と指示が不可欠です。猫の健康状態に関する懸念がある場合は、必ず獣医師に相談することが重要です。
ストレス
猫はストレスに非常に敏感です。新しい環境や家族の到来、他の猫やペットとの関係など、ストレス源が存在すると食事を拒否することがあります。
- 引っ越し、家具の配置変更、新しい家族成員やペットの追加など、環境の変化
- 不安定な日常ルーチン
- 高音や大きな音などの騒音
- 猫の相手をしてあげない
ストレスは猫の健康と幸福に悪影響を与える可能性があり、飼い主さんは猫とのコミュニケーションを大事にしながら、ストレスのサインを認識し、可能な限り快適で安定した環境を提供することが大切です。
口内トラブル
猫の口内に問題がある場合、食事の摂取が困難になります。歯肉炎や歯石、口内炎などの口内トラブルは、猫が食事を避ける原因となる可能性があります。
また、感染症を引き起こす可能性もあり、感染はさらに猫の体内に広がり、心臓、肝臓、腎臓などの内臓や他の器官に影響を与える可能性があります。
注意が必要な状況
食事を全くとらない、食事を拒否する日が続く、その他の症状(元気がない、嘔吐や下痢がある、排尿や排便に異常があるなど)がある場合は、ただ放置してはいけません。すぐに獣医に相談する判断も頭に入れておきましょう。
ガリガリを防ぐための栄養と食事管理
猫が健康的な体重を維持し、ガリガリの状態を避けるためには、適切な栄養と食事管理が重要です。以下のポイントを考慮して、愛猫に適切な栄養と食事管理を提供することができます。
適切なカロリー摂取
猫の年齢、サイズ、活動レベルに基づいて適切なカロリー摂取量を確認し、ガリガリの状態を防ぐために十分なエネルギーを提供しましょう。
▼愛猫の1日に必要なカロリーを知るにはこちらの記事がオススメです。
キャットフードのパッケージの裏に書いて給与量はあくまで目安となります。実は、猫も人と同様にその子にとっても必要なフードの量にはかなりの個体差があります。人でも同じ量を食べているのになぜか太っている方と痩せている方がいますよね。そのため、フードの与え方としては初めに給与量目安や必要なカロリーを軸に必要な量を与えてあげて、その子の体型の変化をチェックしながら量を調整してあげるのが良いでしょう。
また、猫によっては一度に大量の食事を食べることを好まない場合もあります。そのような場合は、一日に数回に分けて少量ずつ提供するといった工夫も有効です。
高品質の食事
高品質のキャットフードは、猫に必要なタンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルを提供し、健康と体重の維持に役立ちます。
最近では、成長期の過ぎた成猫用のキャットフードは肥満防止のためにカロリーが抑えられているものも多いため、ガリガリに痩せてしまっている猫には合っていない可能性もあります。
特に、痩せてしまって栄養やカロリーが必要なシニア猫・老猫には注意してあげましょう。
高品質の食事でも猫が飽きてしまって食べないことも多々あります。その場合は、いくつかの種類のフードをローテーションすることで猫が飽きないように工夫してあげましょう。
▼猫がご飯を食べない理由と対処方法については、より詳しく解説しておりますので以下を参照ください。
定期的な体重チェック
猫の体重を定期的にチェックし、必要に応じて食事プランを調整します。その際に手帳などに体調管理の記録することもおススメです。初めは面倒臭いと感じるかもしれませんが、習慣になってしまえば、何も考えずに記録することができるようになります。
ストレス解消
ストレスは食欲の減退や消化不良を引き起こす可能性があるため、猫のストレスを減らす対策を講じることが重要です。安定した日常ルーチンを提供し、快適で安全な生活環境を確保します。また、おもちゃを使った遊びやエクササイズ、飼い主さんとのスキンシップを通じて猫のエネルギーを適切に放出させ、猫の心もリラックスさせる時間を提供します。
運動量が増えるとエネルギーを消費して空腹を感じることによりキャットフードをしっかりと食べてくれる可能性があります。特に高品質なキャットフードを食べることで、要な栄養やカロリーを摂取し、ガリガリだった体型の改善が期待できます。
補助食品やサプリの利用
猫が必要な栄養を摂取できるように、補助食品やサプリメントを提供することも考慮します。補助食品やサプリメントは、必要なビタミン、ミネラル、および他の栄養素を提供し、猫の健康と体重管理をサポートする可能性があります。
獣医師への相談
猫がガリガリに痩せてしまった際に、少しでも健康不安や病気の可能性がある場合は、かかりつけの動物病院に行き獣医師さんへ相談しましょう。
特に猫が病気によって痩せてしまっている場合は病状が悪化し、重篤な事態に陥ってしまうかもしれません。
病院で診てもらうことで猫のガリガリになっている直接的な原因の特定できる可能性が高く適切な治療をしていくことで、健康的に太らせることが期待できます。
その際、体調管理の記録を持参すると受信時に役立ちます。
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まとめ
・猫は食の好みが強く、同じ食物に飽きたり食べにくいと感じると食事を摂らない傾向があり、これが体重減少の一因となります。
・猫の体重減少は潜在的な病気の兆候である可能性があり、例えば甲状腺機能亢進症、糖尿病、消化器系の病気などが関係している可能性があります。
・猫はストレスに敏感で、新しい環境や家族の変化、他のペットとの関係などストレス源が存在すると食事を拒否することがあり、これが体重減少につながることがあります。
・口内に問題があると食事の摂取が困難になり、これが感染症を引き起こす可能性もあり、感染はさらに猫の体内に広がり、内臓や他の器官に影響を与える可能性があります。
・適切なカロリー摂取、高品質の食事、補助食品やサプリの利用、定期的な体重チェック、ストレス解消など、猫が健康的な体重を維持し、ガリガリの状態を避けるための栄養と食事管理が重要です。
・猫がやせてしまった際には、少しでも健康不安や病気の可能性がある場合は、かかりつけの動物病院に行き獣医師さんへ相談しましょう。