早速今日の本題です。最近は無添加 (添加物不使用)のドッグフードを多く見かけますよね。今日はドッグフード選びで気になる添加物について注意すべきポイントを解説します。さらに、無添加表記には意外と知られてないルールがありますので、是非チェックしてみて下さい。
ドッグフードの添加物とは
添加物は大きく3つの種類があります。栄養添加のためや品質維持のためなど、必ず意味があって添加されていますので、それぞれの役割を確認しておきましょう。
① 栄養を補うための添加物
ビタミンやミネラル、アミノ酸類がそれにあたります。総合栄養食のドッグフードの記載は、AAFCO (全米飼料検査官協会) の栄養基準を満たす必要があります。それを主原料だけでクリアすることは大変厳しく、必然的に栄養を補う添加物を使用しています。栄養を補うために使用される添加物については特に注意は不要です。
② ドッグフードの品質を一定に保つための添加物
保存料や酸化防止剤がそれにあたります。保存料は細菌やカビの繁殖を防ぐため、酸化防止剤はフードの酸化による劣化を防ぐために使用しています。ドッグフードに使用される保存料や酸化防止剤には注意が必要な添加物が使用されているケースがあります。
③ 嗜好増進の (食いつきを良くする) ための添加物
香料 (フレーバー)や甘味料、増粘安定剤がそれにあたります。香料や甘味料は香りや甘みにより食欲を増進させます。増粘安定剤はウェットフードやおやつで良く用いられ、ゼリー状に液体を固めてとろみをつけることで食欲を増進させます。
原材料だけで食いつきが良いドッグフードを作ることが理想ですが、実際は難しいため香料や甘味料を使用しているドッグフードやおやつは良く見かけますね。嗜好増進の(食いつきを良くする)添加物にも注意が必要なものがあります。
・栄養を補うための添加物
・ドッグフードの品質を一定に保つための添加物
・嗜好増進の(食いつきを良くする)ための添加物
ドッグフードで気をつけるべき添加物は?
ドッグフードの品質を一定に保つ添加物は最低限必要です。また、食欲がなく嗜好増進の(食いつきを良くする)添加物がどうしても必要な犬もいます。そういった場合に安全性を見定めるポイントをご紹介します。
添加物には合成(人工)添加物と天然添加物の2パターンがあり、合成(人工)添加物には発がん性といった健康被害が確認されたものもあるため、注意が必要です。そのため、添加物を使用しているドッグフードは出来るだけ天然添加物を使用したものを選ぶことが大切です。
但し、合成(人工)添加物の使用については健康被害が起こらない範囲での使用が法律として定められているため、合成(人工)添加物が使用されているドッグフードを食べると健康被害が起こるという訳では決してありません。
ドッグフードで使用される合成添加物
エトキシキン:ドッグフードの酸化を防ぐために使用される合成(人工)添加物です。果物の焼け病防止剤として用いられる農薬でもあります。
BHA・BHT:ドッグフードの酸化を防ぐために使用される合成(人工)添加物です。ある一定以上の接種で発がん性が報告されています。
ソルビン酸カリウム:細菌やカビの発生・増殖を防ぐために使用される合成(人工)添加物です。食品でも良く使用される保存料です。他の食品添加物との使用で発がん性が報告されています。
亜硝酸ナトリウム:発色剤や細菌やカビの発生・増殖を防ぐために使用される合成(人工)添加物です。ドッグフードではウェットフードで良く使用されます。他の食品添加物との使用で発がん性が報告されています。
亜硫酸ナトリウム:防腐剤として使用される合成(人工)添加物です。少量でも危険度が高い添加物です。
赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色105号、青色2号:着色料として使用される合成(人工)添加物です。中々使用しているドッグフードはありませんが、着色料における日本の法律はヨーロッパやアメリカと比べて緩い傾向があるため注意が必要です。
ドッグフードで使用される天然添加物
ミックストコフェロール: ビタミンEはα、β、γ、δというトコフェロールと4つのトコトリエノールの総称です。ミックストコフェロールは、これらのα、β、γ、δのトコフェロールをバランスよく配合しています。 国際がん研究機関 (IARC)の報告において発がん性は報告されていません。
ローズマリー抽出物:ローズマリーには抗酸化作用を持つポリフェノール成分が複数含まれています。具体的には、カルノソール, カルノシン酸, ロスマノー ル、そしてロスマリン酸が代表的な成分です。 国際がん研究機関 (IARC)の報告において発がん性は報告されていません。
・合成(人工)添加物
・天然添加物
添加物不使用(無添加)のドッグフードは安心・安全?
よく添加物不使用(無添加)を売りにしたドッグフードを目にしますが、総合栄養食のドッグフードにおいて全ての添加物を使用していないドッグフードは(ほぼ)存在しないと思います。総合栄養食の基準を満たすために栄養を補うための添加物が使用されていたり、ドッグフードの品質を一定に保つための添加物が使用されているケースが殆どです。しかし、無添加ドッグフードといった名前を良く見かけるのは何故でしょうか?
添加物不使用(無添加)の表示ルールとは
添加物不使用(無添加)のドッグフードという記載は添加物(保存料、酸化防止剤、香料、甘味料、増粘安定剤など)のどれか1つを使用していなければ記載できてしまいます。そのため、添加物不使用(無添加)という単語に釣られて買ってみたら添加物が沢山使用されていた!なんてことがないように、しっかり原材料欄を確認してみて下さいね。
・ドッグフードに添加物は基本的に使用されている
・添加物不使用(無添加)の表示ルールには気を付ける
酸化防止剤が無添加のドッグフードは要注意
最近気になっているのは、酸化防止剤が全く入っていないことを売りにしているドッグフード。基本的に酸化防止剤は天然由来のものであれば安心ですし、酸化防止剤が入っていない場合は油分の酸化が早まり下痢や嘔吐といった健康被害の原因となります。添加物を使用していないことを売りにした商品が多いですが、気をつけてほしいポイントです。
余談ですが、私自身ドッグフードの開発をしてきた経験からお伝えしたいのは、メーカーの言葉が全て正しいとは考えずに、様々な情報を調べて判断されるのが良いです。大切な愛犬の健康ですので時間は惜しまず調査しましょう。
・酸化防止剤が無添加のドッグフードは下痢や嘔吐といった健康被害の原因になる
・添加物不使用(無添加)の表示ルールには気を付ける
まとめ
・ドッグフード選びで気になる添加物について注意すべきポイントを解説しました。
・添加物は合成添加物と天然添加物を意識すると良いです。
・添加物不使用(無添加)が安全安心かというと決してそうではありません。特に(天然)酸化防止剤はちゃんと使用しているドッグフードを選びましょう。