
topet編集部
犬の口臭や歯石、歯周病、歯磨きの方法など、愛犬のお口の健康を扱った記事は数多くあります。毎日の口腔ケアについて知ることは大切ですが、その前に、そもそも犬の口や歯は、どのようなしくみになっているのでしょうか。
犬の歯は何本あるのか。人の歯とはどこが違うのか。それぞれの歯には、どのような役割があるのか。
今回は、ケアの方法から少し視点を変え、犬の口と歯の基本に立ち返ります。歯の構造や働きを知ることは、愛犬の食べ方や噛む行動を理解し、日々のお口の健康を考えるきっかけにもなります。

犬の歯は何本ある?成犬と子犬の違い
犬の歯の本数は、成犬と子犬で異なります。
成犬の永久歯は、一般的に42本です。一方、子犬の乳歯は、一般的に28本あります。
成犬の永久歯は42本
成犬の歯の内訳は、次のとおりです。
| 歯の種類 | 本数 |
| 切歯 | 12本 |
| 犬歯 | 4本 |
| 前臼歯 | 16本 |
| 後臼歯 | 10本 |
| 合計 | 42本 |
犬の歯は、口の前方から奥に向かって、切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯という順番で並んでいます。すべての歯が同じ形をしているわけではなく、場所によって形状や大きさが異なります。これは、それぞれの歯が異なる役割を担っているためです。
子犬の乳歯は28本
子犬の乳歯は、一般的に28本です。
| 歯の種類 | 本数 |
| 切歯 | 12本 |
| 犬歯 | 4本 |
| 前臼歯 | 12本 |
| 後臼歯 | 0本 |
| 合計 | 28本 |
子犬は成長にともなって乳歯が抜け、永久歯へと生え替わります。生え替わりの時期には個体差がありますが、おおむね生後3〜7か月頃に進み、生後6〜7か月頃までには永久歯が生えそろうとされています。
ただし、乳歯が抜けずに残る「乳歯遺残」が見られることもあります。特に小型犬では起こりやすいとされ、歯並びや歯垢のたまりやすさに関係する場合があります。
子犬を迎えたら、食事や遊びだけでなく、歯の生え替わりも成長の一部として観察しておきたいポイントです。

犬の歯の種類と役割
犬の歯には、それぞれ異なる役割があります。歯の名前を知ると、口の中の構造もイメージしやすくなります。
切歯:食べ物をつまみ取る歯
口のいちばん前に並んでいる小さな歯が「切歯」です。上下に6本ずつ、合計12本あります。
切歯は、食べ物をつまんだり、かじり取ったりするときに使われます。物を細かく扱う動作にも関わっており、犬が前歯で何かをくわえたり、軽くかじったりするときに活躍します。
また、犬が体をなめたり、毛や皮膚の一部を気にしてかじったりする行動にも、切歯が使われることがあります。
犬歯:物をつかみ、引き裂く歯
口の前方で、ひときわ長く尖っている歯が「犬歯」です。上下に2本ずつ、合計4本あります。
犬歯は、物をしっかりつかんだり、食べ物を引き裂いたりするための歯です。犬の口を特徴づける歯のひとつで、ロープのおもちゃなどをくわえるときにも使われます。
犬歯は長く尖っているため、強そうに見えますが、硬いものを強く噛ませれば安全というわけではありません。歯の形に合わない負荷がかかると、歯を傷める可能性があります。
前臼歯:食べ物を切り分ける歯
犬歯よりも奥に並ぶ歯が「前臼歯」です。成犬では上下合わせて16本あります。
前臼歯は、食べ物を切り分けたり、かみ砕いたりする役割を持っています。人の奥歯と比べると尖った部分が目立ち、犬の食べ方に適した形をしています。
犬の上あごにある第4前臼歯と、下あごにある第1後臼歯は、食べ物を切断する働きが強く、「裂肉歯」と呼ばれることもあります。
後臼歯:食べ物をかみ砕く歯
口のいちばん奥にある歯が「後臼歯」です。成犬では上下合わせて10本あります。
後臼歯は、食べ物をかみ砕くために使われます。ただし、犬の歯は人の臼歯のように、食べ物を細かくすりつぶすことに特化した構造ではありません。
犬の歯は、食べ物をつかむ、引き裂く、切り分けるといった動きに適しています。食べ物を口の中で何度もすりつぶす人とは、歯の形や食べ方が異なるのです。

犬の歯は人の歯とどう違う?
犬と人では、歯の本数だけでなく、歯の形や口の使い方にも違いがあります。
人の奥歯は、食べ物をすりつぶしやすい平らな面を持っています。一方、犬の歯は尖った形のものが多く、食べ物をつかむ、引き裂く、切り分けることに適しています。
また、人は食べ物を口の中で何度も咀嚼し、唾液と混ぜ合わせて細かくしながら飲み込みます。それに対して犬は、食べ物を歯で切り分け、ある程度の大きさにかみ砕いて飲み込むことに適した口の構造を持っています。
そのため、犬が人のように長い時間をかけて食べ物を咀嚼せず、比較的短時間で飲み込むことがあっても、必ずしも異常というわけではありません。
ただし、以前と比べて食べる速度や噛み方が変わった場合は注意が必要です。
- 食べるのに時間がかかるようになった
- フードを口から落とす
- 片側だけで噛んでいるように見える
- 硬いフードを避ける
- 食事の途中でやめる
- おもちゃを噛まなくなった
このような変化が続く場合は、口の中に痛みや違和感がないか、ほかに体調の変化がないかを確認しましょう。

「硬いものを噛むと歯に良い」は本当?
犬にとって、ものを噛むことは自然な行動です。おもちゃやおやつを噛むことには、遊びや探索、気分転換など、さまざまな意味があります。
一方で、硬いものを噛めば噛むほど歯に良いとは限りません。
骨、鹿角、ひづめ、非常に硬いナイロン製のおもちゃなどは、噛み方や歯の状態によって、歯が欠けたり折れたりする可能性があります。噛むものは、硬さだけでなく、愛犬の口の大きさや噛む力、破損しにくさなども考えて選びましょう。
噛むものを選ぶときのチェックポイント
- 硬すぎず、歯で噛むと適度に変形するか
- 丸ごと飲み込めない大きさか
- 尖った部分や歯に引っかかる形がないか
- 割れや欠け、ささくれがないか
- 愛犬の口の大きさや噛む力に合っているか
- 噛んでいる様子を飼い主が確認できるか
また、普段の噛み方や食べ方にも注目してみましょう。
- いつも同じ側で噛むようになった
- 食べ物を口から落とすことが増えた
- 好きだったおもちゃを噛まなくなった
- 硬いおやつを避けるようになった
- 口元を気にする仕草が増えた
このような変化が続く場合は、歯や口の中に痛みや違和感がある可能性もあります。
犬は、口の中に不調があっても、はっきりと態度に示すとは限りません。普段の食事や遊び方、ものの噛み方を知っておくことが、変化に気づく手がかりになります。
犬の口のしくみを知ることから、毎日のケアへ
犬のお口の健康を守るためには、歯磨きや食事の見直し、口の中の状態を確認する習慣が大切です。
ただし、ケアの方法を覚えるだけでなく、犬の歯がどのような形をしていて、どのような役割を持っているのかを知ることも、愛犬を理解するための大切な一歩です。
犬の歯は、切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯に分かれ、それぞれ異なる働きをしています。人の歯とは形や使い方も異なり、犬は食べ物をつかむ、引き裂く、切り分けるといった動作を得意としています。
こうした基本的なしくみを知っていると、食事中の噛み方や、おもちゃのくわえ方など、普段の何気ない行動にも目を向けやすくなります。
そして、いつもと違う食べ方や噛み方に気づいたときは、単なる癖や年齢の変化と決めつけず、口の中に異常がないかを確認することが大切です。気になる変化が続く場合は、動物病院に相談しましょう。
犬の口のしくみを知ることは、毎日の口腔ケアを考える前の、基本の一歩です。愛犬の歯や口の働きを理解しながら、無理なく続けられるケア習慣を取り入れていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 犬の歯は何本ありますか?
成犬の永久歯は、一般的に42本です。切歯12本、犬歯4本、前臼歯16本、後臼歯10本で構成されています。子犬の乳歯は、一般的に28本です。
Q2. 犬の歯にはどんな役割がありますか?
切歯は食べ物をつまみ取る、犬歯は物をつかんだり引き裂いたりする、前臼歯や後臼歯は食べ物を切り分けたりかみ砕いたりする役割があります。
Q3. 犬の歯は人の歯とどのように違いますか?
人の奥歯は食べ物をすりつぶしやすい形をしていますが、犬の歯は食べ物をつかむ、引き裂く、切り分けることに適しています。歯の形や食べ方に違いがあります。
Q4. 犬には硬いものを噛ませたほうがよいですか?
硬いものを噛むことが、必ずしも歯の健康につながるとは限りません。骨や鹿角、ひづめ、硬すぎるおもちゃなどは、歯が欠けたり折れたりする可能性があります。愛犬の体格や噛み方に合ったものを選びましょう。
Q5. 犬の食べ方や噛み方が変わった場合はどうすればよいですか?
食べる速度が急に遅くなった、フードを口から落とす、片側だけで噛む、硬いものを避けるといった変化が続く場合は、口の中に痛みや違和感がある可能性があります。気になる場合は動物病院へ相談しましょう。
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まとめ
- 成犬の永久歯は一般的に42本、子犬の乳歯は28本ある
- 切歯・犬歯・前臼歯・後臼歯には、それぞれ異なる役割がある
- 犬の歯は、食べ物をすりつぶすよりも、つかむ・引き裂く・切り分けることに適している
- 硬いものを噛むことが必ずしも歯に良いとは限らず、安全性を考えて選ぶことが大切




