ほうれん草はビタミンや鉄などを含み、犬にとって体に良い野菜です。しかし、ほうれん草を食べて下痢や軟便になるのでは?と考えている方もいらっしゃるかと思います。
むしろほうれん草は不溶性食物繊維を比較的多く含むため、摂りすぎることで下痢ではなく便秘になる可能性があります。この記事ではほうれん草の正しい与え方や注意事項についてもまとめました。
そもそも犬はほうれん草を食べられる?
ほうれん草は与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。しかし、生のままは固く下痢や嘔吐の原因になるだけではなく、シュウ酸を多く含み尿路結石症のリスクを高めるため、茹でてから与えましょう。
また、茎の根元などの硬い部分があるため、与える際は小さくカットしてあげて下さい。
そもそも犬はほうれん草を食べられる?
・ほうれん草は犬に与えても問題なし。
・生のままではなく茹でてから与える。
・与える際は小さくカット。
ほうれん草の犬に対する有効成分と効能
ほうれん草はビタミンや食物繊維を豊富に多く含み犬にとって健康に良い野菜です。ほうれん草はキャベツと比較されることが多いですが、ほうれん草はキャベツと比べてビタミンの配合量が全体的に多い点が特徴です。
ここではほうれん草(生)の栄養成分とその効果についてまとめています。
100g中に含まれる食品成分(文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより)
エネルギー | 23kcal |
水分 | 91.5g |
タンパク質 | 3.9g |
脂質 | 0.4g |
炭水化物 | 5.2g |
灰分 | 0.6g |
ビタミンA
新しい皮膚が作られ剥がれ落ちるまでのサイクル(ターンオーバー)が崩れると皮膚疾患の原因にもなります。ビタミンAはターンオーバーの周期バランスを調節する作用が期待できます。
ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンCはビタミンの中でも強い抗酸化作用を持ち、免疫力を維持する働きが期待できます。また、犬の皮膚や関節に重要な成分であるコラーゲンとの関わりが強いと言われており、皮膚や関節の健康維持も期待されています。
鉄
鉄はミネラルの一種で、血流にのって全身に酸素を運ぶ働きがあるため、貧血の予防や疲労回復効果が期待できます。
カリウム
カリウムは神経系の働きに重要な役割を持つミネラルです。過剰なナトリウム(塩分)を体外へ排出することで、血圧を安定させる効果もあります。
食物繊維
ほうれん草に多く含まれる不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を吸収して膨らみ腸を刺激するため、適量であれば便秘改善や予防に効果的です。
ほうれん草の栄養素
・βカロテン
・ビタミンC(アスコルビン酸)
・鉄
・カリウム
・食物繊維
犬にほうれん草を与えると下痢になる?
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。ほうれん草100gには0.7gの水溶性食物繊維と2.1gの不溶性食物繊維が含まれています。
水溶性食物繊維は体内で水に溶けてゲル状になり便を柔らかくします。そのため、水溶性食物繊維を摂りすぎると下痢になりやすいです。
一方で、不溶性食物繊維は、便の量を増やして大腸を刺激することで排便を促します。そのため、不溶性食物繊維を摂りすぎると便秘になりやすいです。
ほうれん草は不溶性食物繊維を比較的多く含むため、摂りすぎることで下痢ではなく便秘になる可能性があります。しかし、普段から軟便の犬には便の硬さを整えるという意味で与えても良いでしょう。
犬に対する不溶性食物繊維の働きは?
不溶性食物繊維も多く含むほうれん草ですが、犬は草食動物のように発酵槽を持たないため、不溶性食物繊維はすぐに大腸を通過してしまい、善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える効果は発揮し難いと言われています(※)。
※ 石岡 克己 (2021) “犬と猫における消化器疾患と栄養”
犬にほうれん草を与えると下痢になる?
・ほうれん草には不溶性食物繊維が比較的多く含まれている。
・ほうれん草に含まれる不溶性食物繊維は、便の量を増やして大腸を刺激することで排便を促す。
・不溶性食物繊維は、摂りすぎることで下痢ではなく便秘になる可能性がある。
犬にほうれん草を与える際の注意点
腎臓や心臓に疾患がある犬
ほうれん草は野菜の中でもカリウムを豊富に含んでいます。愛犬の腎臓機能に疾患があるとほうれん草に含まれるカリウムが溜まりやすくなり、不整脈など心臓に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、愛犬に腎臓や心臓に疾患がある場合は注意しましょう。
尿路結石症の犬
ほうれん草にはシュウ酸が多く含まれます。シュウ酸はカルシウムと結合することでシュウ酸カルシウムとなり、結晶化してしまうと尿路尿石症に繋がります。
尿路結石症になると、腎臓や尿管など尿の通り道で痛みが生じ、上手く尿を排泄できなくなります。そのため、既に尿路結石症である犬や疑いがある犬は、ほうれん草は極力避けてあげた方が良いです。
甲状腺機能低下症の犬
ほうれん草にはゴイトロゲンという成分が含まれています。ゴイトロゲンは甲状腺ホルモンの分泌を妨げる成分であるため、既に甲状腺機能低下症である犬には与えない方が良いでしょう。
ほうれん草を与える量
ほうれん草は100gあた約23kcalのエネルギーを含みます。低カロリーではありますが、与えすぎることでカロリー過多とならないように注意しましょう。
犬は体型や活動量など、個体によって1日に必要なカロリーが異なります。愛犬が1日に必要なカロリーを把握することで、おやつや食事の量を適切にコントロールしてあげましょう。
▼愛犬の1日に必要なカロリーを知るには下記記事がオススメです。
ほうれん草を与える際の注意点
・腎臓や心臓に疾患がある犬
・尿路結石症の犬
・甲状腺機能低下症の犬
・ほうれん草を与える量
まとめ
・ほうれん草は与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。側の葉っぱは取り除きましょう。
・ほうれん草には犬の健康に良い栄養素を多く含むオススメの野菜です。βカロテン、ビタミンC(アスコルビン酸)、鉄、カリウム、食物繊維といった栄養素を含みます。
・ほうれん草は不溶性食物繊維を比較的多く含むため、摂りすぎることで下痢ではなく便秘になる可能性があります。
・ほうれん草を与える際は、腎臓や心臓に疾患がある犬、尿路結石症の犬、甲状腺機能低下症の犬、ほうれん草を与える量には気をつけましょう。