チーズはカルシウムやビタミン、ミネラルを含むため犬にとって体に良い乳製品です。しかし、乳製品であることから下痢になりやすいのでは?と考えている方もいらっしゃるかと思います。
結論を申し上げるとチーズには乳製品で下痢の原因になる乳糖をほとんど含みませんので、基本的には下痢の心配はございません。
しかし、乳糖を多く含むチーズや塩分量が多いチーズは下痢の原因になり得ます。そのため、この記事ではチーズの正しい選び方や与え方についてまとめました。
そもそも犬はチーズを食べられる?
チーズは選び方や与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。チーズは種類によって塩分量が異なりますので、塩分過多による下痢や嘔吐に注意しましょう。
また、チーズの種類によって硬さが異なりますので、喉に詰まらせないように、硬いチーズを与える際は必ず小さいサイズにカットしてから与えましょう。
そもそも犬はチーズを食べられる?
・チーズは犬に与えても問題なし。
・チーズは種類によって塩分量が異なるため、塩分過多による下痢や嘔吐に注意。
・チーズは種類によって硬さが異なざるため、硬いチーズを与える際は小さくカット。
チーズの犬に対する有効成分と効能
チーズは種類によって塩分量が異なります。犬は1度に塩分を沢山摂取することで、中毒症状を引き起こすことがあります(食塩中毒)。食塩中毒は、下痢や嘔吐、発作などの症状が発生します。
そのため、チーズを与える際も食塩相当量を意識して与えると良いでしょう。ここでは、塩分が比較的多いチーズと少ないチーズの栄養素をそれぞれまとめました。
100g中に含まれる食品成分(文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより)
塩分が比較的多いチーズ (食塩相当量が2.0g以上)
エダム | カマンベール | ゴーダ | チェダー | パルメザン | ブルー | プロセスチーズ | |
エネルギー | 321kcal | 291kcal | 356kcal | 390kcal | 445kcal | 326kcal | 313kcal |
水分 | 41.0g | 51.8g | 40.0g | 35.3g | 15.4g | 45.6g | 45.0g |
タンパク質 | 28.9g | 19.1g | 25.8g | 25.7g | 44.0g | 18.8g | 22.7g |
脂質 | 25.0g | 24.7g | 29.0g | 33.8g | 30.8g | 29.9g | 26.0g |
炭水化物 | 1.4g | 0.9g | 1.4g | 1.4g | 1.9g | 1.0g | 1.3g |
灰分 | 3.7g | 3.5g | 3.8g | 3.8g | 7.9g | 5.6g | 5.0g |
食塩相当量 | 2.0g | 2.0g | 2.0g | 2.0g | 3.8g | 3.8g | 2.8g |
塩分が比較的少ないチーズ (食塩相当量が2.0g未満)
エメンタール | カテージ | クリーム | マスカルポーネ | モッツァレラ | やぎ | リコッタ | |
エネルギー | 398kcal | 99kcal | 313kcal | 273kcal | 269kcal | 280kcal | 159kcal |
水分 | 33.5g | 79.0g | 55.5g | 62.4g | 56.3g | 52.9g | 72.9g |
タンパク質 | 27.3g | 13.3g | 8.2g | 4.4g | 18.4g | 20.6g | 7.1g |
脂質 | 33.6g | 4.5g | 33.0g | 28.2g | 19.9g | 21.7g | 11.5g |
炭水化物 | 1.46g | 1.9g | 2.3g | 4.3g | 4.2g | 2.7g | 6.7g |
灰分 | 4.0g | 1.3g | 1.0g | 0.8g | 1.3g | 2.2g | 1.7g |
食塩相当量 | 1.3g | 1.0g | 0.7g | 0.1g | 0.2g | 1.2g | 0.4g |
カルシウム
骨の発育と維持のために重要な栄養素です。リンと密接に関係しているため、バランスよく摂取することが大切です。また、カルシウムは過剰も欠乏も尿路結石症のリスクを高めるため注意が必要です。
ビタミンA
新しい皮膚が作られ剥がれ落ちるまでのサイクル(ターンオーバー)が崩れると皮膚疾患の原因にもなります。ビタミンAはターンオーバーの周期バランスを調節する作用が期待できます。
ビタミンB2 (リボフラミン)
ビタミンB2は、皮膚の健康維持や被毛の質を高めることが期待できます。また、欠乏すると皮膚や被毛が乾燥し、光線過敏症を起こすこともありますので注意が必要です。
ビタミン E (トコフェロール)
ビタミンEはフードの酸化防止剤にも利用されるように、抗酸化作用を持つため細胞膜の酸化や老化を防ぐことのできるビタミンです。
チーズの栄養素
・カルシウム
・ビタミンA
・ビタミンB2 (リボフラミン)
・ビタミン E (トコフェロール)
犬にチーズを与えると下痢になる?
犬が乳製品を食べて下痢をする原因として考えられるのは、乳糖・塩分過多・乳製品アレルギーです。それぞれチーズは該当するのか確認していきます。
乳糖が原因
乳製品を食べて下痢を引き起こす原因の多くは、犬は乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が少ない傾向にあるからです。
チーズ類は基本的に乳糖は少ない傾向にありますが、クリームチーズは100gあたり2.4g、マスカルポーネチーズは100gあたり3.5g(※)と、この2種類は乳糖が多く含まれているため注意が必要です。
牛乳には100gあたり4.4g、プレーンヨーグルトには100gあたり2.9g(※)ですので、プレーンヨーグルトを食べて下痢になったことがある犬であれば、クリームチーズやマスカルポーネチーズには注意が必要です。
※文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編」
▼乳糖について詳しくはこちら
塩分過多が原因
犬の世界的な栄養基準を定めているAAFCOでは、ナトリウムの最大値を定めておらず、明確な基準値は存在しません。
その場合は、人の安全基準を参考値にすると良いです。厚生労働省の資料によると塩分摂取量は成人1人1日当たり男性7.5g未満と定めています(※)ので、成人男性60kgと想定すると、体重1kgあたり0.125gを塩分摂取上限の目安として考えることができます。
例えば、体重10kgの犬は1.25gが上限目安となりますので、普段与えているドッグフードに記載されている塩分量を加味して上限を超えないように調整する必要があります。
※ 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
乳製品アレルギーが原因
過去に乳製品を食べてアレルギーが出てしまった場合は、チーズは控えた方が良いです。下痢や嘔吐、皮膚疾患が代表的な症状ですので、過去に思い当たることがないか考えてからチーズを与えましょう。
犬にチーズを与えると下痢になる?
・クリームチーズは100があたり2.4g、マスカルポーネチーズは100gあたり3.5gと、この2種類は乳糖が多く含まれているため注意が必要。
・人の基準を参考に体重1kgあたり0.125gを塩分摂取上限の目安としましょう。
・過去に乳製品を食べてアレルギーが出てしまった場合は、チーズは控えた方が良い。
犬にチーズを与える際の注意点
腎臓に疾患がある犬
1度に塩分を過剰摂取すると、塩分排出を行う腎臓への負担が大きくなります。そのため、愛犬に腎臓疾患がある場合は注意しましょう。
乳製品アレルギーがある犬
前の章でも説明しましたが、乳製品アレルギーがある犬にチーズを与えると、下痢や嘔吐、皮膚疾患を引き起こす原因になります。
初めて与える際は少量のみ与えて様子を観察してみてください。アレルギー症状がみられる場合は与えるのを止め、動物病院で診てもらうことをおすすめします。
冷やし過ぎない
特にお腹の弱い犬に注意して頂きたいのが、冷やし過ぎないことです。冷えた食べ物は犬にとって胃腸の負担となるため、下痢の原因になります。温度は出来るだけ常温に近づけてから食べさせてください。
チーズを与える種類と量
チーズは種類によってカロリーや食塩相当量が異なります。食塩相当量が比較的少ない、エメンタール、カテージ、クリーム、マスカルポーネ、モッツァレラ、やぎ、リコッタチーズがおすすめです。
また、犬は体型や活動量など、個体によって1日に必要なカロリーが異なります。愛犬が1日に必要なカロリーを把握することで、おやつや食事の量を適切にコントロールしてあげましょう。
▼愛犬の1日に必要なカロリーを知るには下記記事がオススメです。
チーズを与える際の注意点
・腎臓病犬
・乳製品アレルギーがある犬
・冷やしすぎない
・チーズを与える種類と量
まとめ
・チーズは与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。種類によっては食塩相当量が多いため、摂取量には注意しましょう。
・チーズには犬の健康に良い栄養素を多く含むオススメの果物です。カルシウム、ビタミンA、ビタミンB2 (リボフラミン)、ビタミン E (トコフェロール)といった栄養素を含みます。
・チーズに含まれる乳糖や塩分の摂りすぎにより、下痢を引き起こす可能性があります。また、乳製品アレルギーの犬は下痢や嘔吐、皮膚疾患などを引き起こす可能性があります。
・桃を与える際は、腎臓病の犬、乳製品アレルギーがある犬、冷やしすぎない、チーズを与える種類と量には気をつけましょう。