犬に桃を与えると下痢になる!?栄養学的にペット栄養管理士が解説

犬に豚肉を与えると下痢になる!?栄養学的にペット栄養管理士が解説

ペット栄養管理士_高山裕紀

高山裕紀
ペット栄養管理士

桃はビタミンやミネラル、食物繊維など犬にとって体に良い果物です。また、水分量も多いため熱中症対策に与えることもできます。しかし、桃には食物繊維を多く含むため下痢や軟便になるのでは?と考えている方もいらっしゃるかと思います。

桃は食物繊維をバランス良く含み、むしろ犬の下痢に効果があると考えられます。しかし、下痢の状態によっては逆効果にもなりますので、この記事では桃の正しい与え方や注意事項についてもまとめました。

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そもそも犬は桃を食べられる?

犬は桃を食べても大丈夫!?含まれる栄養素とその効果は?

桃は与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。皮や種は消化に悪く下痢や嘔吐の原因になるため、与える際はしっかり取り除きましょう。

また、桃の加工品や飲み物は糖分を多く含むだけではなく、カロリーも高いため与えることをおすすめしません。

そもそも犬は桃を食べられる?
・桃は犬に与えても問題なし。
・皮や種は消化に悪く下痢や嘔吐の原因になるため、与えてはいけない。
・桃の加工品や飲み物は糖分やカロリーの観点からおすすめしない。

桃の犬に対する有効成分と効能

桃を食べさせるときに注意すべき犬は?

桃の果肉の成分は約90%が水分でビタミンを多く含み、桃は犬にとって健康に良い果物です。ここでは桃の栄養成分とその効果についてまとめています。

100g中に含まれる食品成分(文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより)

エネルギー38kcal
水分88.7g
タンパク質0.6g
脂質0.1g
炭水化物10.2g
灰分0.4g

ビタミンC(アスコルビン酸)

ビタミンCはビタミンの中でも強い抗酸化作用を持ち、免疫力を維持する働きが期待できます。また、犬の皮膚や関節に重要な成分であるコラーゲンとの関わりが強いと言われており、皮膚や関節の健康維持も期待されています。

ビタミン E (トコフェロール)

ビタミンEはフードの酸化防止剤にも利用されるように、抗酸化作用を持つため細胞膜の酸化や老化を防ぐことのできるビタミンです。

カテキン

緑茶に含まれる成分として有名なカテキンですが、口臭予防の効果が期待できるほか、抗酸化作用を持つため細胞膜の酸化や老化を防ぐことが期待されます。

カリウム

カリウムは神経系の働きに重要な役割を持つミネラルです。過剰なナトリウム(塩分)を体外へ排出することで、血圧を安定させる効果もあります。

食物繊維

食物繊維は腸内で善玉菌のエサになることで腸内環境を整える効果があります。食物繊維は不溶性と水溶性がありますが、桃に含まれる水溶性食物繊維は糖質の吸収をゆるやかにすることで、食後の血糖値上昇を抑えます。

桃の栄養素
・ビタミンC(アスコルビン酸)
・ビタミンE(トコフェロール)
・カテキン
・カリウム
・食物繊維

犬に桃を与えると下痢になる?

犬に桃を与えると下痢になる?

食物繊維には水溶性食物繊維不溶性食物繊維があります。桃100gには0.6gの水溶性食物繊維(ペクチン)と0.7gの不溶性食物繊維が含まれています

水溶性食物繊維は体内で水に溶けてゲル状になり便を柔らかくします。そのため、水溶性食物繊維を摂りすぎると下痢になりやすいです。

一方で、不溶性食物繊維は、便の量を増やして大腸を刺激することで排便を促します。そのため、不溶性食物繊維を摂りすぎると便秘になりやすいです。

桃に含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)は、善玉菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあります。そのため、桃は腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には効果が期待できると言えます。

犬に対する不溶性食物繊維の働きは?

不溶性食物繊維も含む桃ですが、犬は草食動物のように発酵槽を持たないため、不溶性食物繊維はすぐに大腸を通過してしまい、善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える効果は発揮し難いと言われています(※)。

※ 石岡 克己 (2021) “犬と猫における消化器疾患と栄養”

犬に桃を与えると下痢になる?
・桃には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれています。
・桃に含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)は、善玉菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあります。
・桃は腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には効果が期待できると言えます。

犬に桃を与える際の注意点

犬に桃を与える際の注意点

腎臓や心臓に疾患がある犬

桃は果物の中でもカリウムを豊富に含んでいます。愛犬の腎臓機能に疾患があると桃に含まれるカリウムが溜まりやすくなり、不整脈など心臓に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、愛犬に腎臓や心臓に疾患がある場合は注意しましょう。

バラ科アレルギーがある犬

桃はりんごと同じバラ科の果物で、アレルギーの報告が多い食品です。アレルギーの症状は、皮膚疾患、下痢や嘔吐が代表的です。過去にバラ科の果物でアレルギーが発症したことがある犬は注意が必要です。

初めて与える際は少量のみ与えて様子を観察してみてください。下痢や嘔吐などがみられる場合は与えるのを止め、動物病院で診てもらうことをおすすめします。

冷やし過ぎない

特にお腹の弱い犬に注意して頂きたいのが、冷やし過ぎないことです。冷えた食べ物は犬にとって胃腸の負担となるため、下痢の原因になります。温度は出来るだけ常温に近づけてから食べさせてください。

桃を与える量

桃は100gあたり約38kcalのエネルギーを含みます。そのため、与えすぎることでカロリー過多とならないように注意しましょう。

犬は体型や活動量など、個体によって1日に必要なカロリーが異なります。愛犬が1日に必要なカロリーを把握することで、おやつや食事の量を適切にコントロールしてあげましょう。

▼愛犬の1日に必要なカロリーを知るには下記記事がオススメです。

桃を与える際の注意点
・腎臓病や心臓病の犬
・バラ科アレルギーがある犬
・冷やしすぎない
・桃を与える量

まとめ

・桃は与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。皮や種は消化に悪いため取り除きましょう。
・桃には犬の健康に良い栄養素を多く含むオススメの果物です。ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)、カテキン、カリウム、食物繊維といった栄養素を含みます。
・桃に含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)の働きにより、桃は腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には効果が期待できると言えます。
・桃を与える際は、腎臓病や心臓病の犬、バラ科アレルギーがある犬、冷やしすぎない、与える量には気をつけましょう。

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