梨は多くの水分を含んでいるため水分補給に適しており、犬の健康に良い栄養成分も摂取できます。また、梨には食物繊維を多く含むため下痢や軟便になるのでは?と考えている方もいらっしゃるかと思います。
意外にも、梨は与え方を間違えると下痢ではなく便秘になりやすいです。この記事では梨の正しい与え方や注意事項についてもまとめました。
そもそも犬は梨を食べられる?
梨は与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。皮や種、芯は消化に悪く下痢や嘔吐の原因になるため、与える際はしっかり取り除きましょう。
また、梨の加工品や飲み物は糖分を多く含むだけではなく、カロリーも高いため与えることをおすすめしません。
そもそも犬は梨を食べられる?
・梨は犬に与えても問題なし。
・皮や種、芯は消化に悪く下痢や嘔吐の原因になるため、与えてはいけない。
・梨の加工品や飲み物は糖分やカロリーの観点からおすすめしない。
梨の犬に対する有効成分と効能
梨は約9割が水分でできているため、水分補給にはおすすめの果物です。水分が不足すると、食欲不振や嘔吐、下痢といった脱水症状につながるため注意が必要です。ここでは梨(日本梨)の栄養成分とその効果についてまとめています。
100g中に含まれる食品成分(文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより)
エネルギー | 38kcal |
水分 | 88g |
タンパク質 | 0.3g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 11.3g |
灰分 | 0.3g |
カリウム
梨には筋肉細胞の中に多く存在する栄養素であるカリウムを多く含みます。カリウムは、筋肉の収縮の働きを正常に保つ働きをしています。カリウムが不足すると、低カリウム血症を発症し、運動能力の低下や無気力状態などを引き起こします。但し、総合栄養食を与えている犬には心配不要です。
食物繊維
梨は不溶性食物繊維を多く含んでいます。食べた後は大腸が刺激されて排便が促されるため、便通をよくする効果が期待できます。
プロテアーゼ
梨にはたんぱく質の消化を助けるプロテアーゼという酵素を含みます。プロテアーゼは消化機能の向上効果が期待できます。
消化酵素が不足すると、消化活動に影響を及ぼし体調不良に繋がる恐れもあります。但し、総合栄養食を与えている犬には心配不要です。
梨の犬に対する有効成分
・カリウム
・食物繊維
・プロテアーゼ
犬に梨を与えると下痢になる?
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。梨100gには0.6gの水溶性食物繊維と0.7gの不溶性食物繊維が含まれています。
水溶性食物繊維は体内で水に溶けてゲル状になり便を柔らかくします。そのため、水溶性食物繊維を摂りすぎると下痢になりやすいです。
一方で、不溶性食物繊維は、便の量を増やして大腸を刺激することで排便を促します。そのため、不溶性食物繊維を摂りすぎると便秘になりやすいです。
以上のことから、不溶性食物繊維を多く含む梨は、食べすぎると下痢ではなく便秘になりやすいと言えます。しかし、普段から軟便の犬には便の硬さを整えるという意味で与えても良いでしょう。
犬の腸内環境を整える働きは?
不溶性食物繊維を多く含む梨ですが、犬は草食動物のように発酵槽を持たないため、不溶性食物繊維はすぐに大腸を通過してしまい、善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える効果は発揮し難いと言われています(※)。
そのため、梨は不溶性食物繊維を多く含むため、腸内環境を整える働きはあまり期待できません。
※ 石岡 克己 (2021) “犬と猫における消化器疾患と栄養”
犬に梨を与えると下痢になる?
・梨には不溶性食物繊維が多く含まれています。
・不溶性食物繊維は、便の量を増やして排便を促すため便秘になりやすい。
・不溶性食物繊維を多く含む梨は、食べすぎると下痢ではなく便秘になりやすい。
犬に梨を与える際の注意点
腎臓や心臓に疾患がある犬
愛犬の腎臓機能に疾患があると梨に含まれるカリウムが溜まりやすくなり、不整脈など心臓に影響を及ぼす可能性があります。
梨は他のフルーツと比較してカリウム量は多くありませんが、用心するに越したことはありません。
梨アレルギーがある犬
梨にアレルギーを持つ犬もいるため、初めて与える際は少量のみ与えて様子を観察してみてください。下痢や嘔吐などがみられる場合は与えるのを止め、動物病院で診てもらうことをおすすめします。
冷やし過ぎない
特にお腹の弱い犬に注意して頂きたいのが、冷やし過ぎないことです。冷えた食べ物は犬にとって胃腸の負担となるため、下痢の原因になります。温度は出来るだけ常温に近づけてから食べさせてください。
梨を与える量
梨は100gあたり38kcalのエネルギーを含みます。そのため、与えすぎることでカロリー過多とならないように注意しましょう。
犬は体型や活動量など、個体によって1日に必要なカロリーが異なります。愛犬が1日に必要なカロリーを把握することで、おやつや食事の量を適切にコントロールしてあげましょう。
▼愛犬の1日に必要なカロリーを知るには下記記事がオススメです。
梨を与える際の注意点
・腎臓病や心臓病の犬
・梨アレルギーがある犬
・梨を冷やしすぎない
・梨を与える量
まとめ
・梨は与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。皮や種、芯は消化に悪いため取り除きましょう。
・梨には多くの水分を含むため水分補給におすすめな果物です。また、カリウム、食物繊維、プロテアーゼといった体に良い栄養素を含みます。
・不溶性食物繊維を多く含む梨は、食べすぎると下痢ではなく便秘になりやすいと言えます。
・梨を与える際は、腎臓病や心臓病の犬、梨アレルギーがある犬、冷やしすぎない、与える量には気をつけましょう。