犬の下痢にヨーグルトが効果的!?栄養学的にペット栄養管理士が解説

犬の下痢にヨーグルトが効果的!?栄養学的にペット栄養管理士が解説おすすめ
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ペット栄養管理士_高山裕紀

高山裕紀
ペット栄養管理士

犬の下痢にヨーグルトは効果的ですか?という質問を良く頂きます。結論から申し上げると犬の下痢にヨーグルトは効果があります。

しかし、下痢の状態によっては逆効果にもなりますので、ヨーグルトを愛犬に与える際の注意点を必ず確認して下さい。

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そもそも犬はヨーグルトを食べられる?

そもそも犬はヨーグルトを食べられる?

ヨーグルトは冷えたままだとお腹を冷やして下痢をするリスクがあるため、ある程度常温に戻した状態であれば与えても問題ありません。しかし、犬が分解することが苦手な乳糖を含むため、初めて与える際には下痢や嘔吐がないか注意して与えましょう。

また、プレーンでは加工されたヨーグルトは糖分を多く含むだけではなく、カロリーが高いため与えることをおすすめしません。

そもそも犬はヨーグルトを食べられる?
・ヨーグルトはある程度常温に戻した状態であれば与えても問題なし。
・ヨーグルトには乳糖が含まれるため、初めて与える場合は注意。
・ヨーグルトの加工品は糖分やカロリーの観点からおすすめしない。

ヨーグルトの犬に対する有効成分と効能

ヨーグルトの犬に対する有効成分と効能

ヨーグルトはカルシウムやビタミンを含み、栄養分が豊富な食べ物です。ここではヨーグルト(無脂肪無糖)の栄養成分と犬に対する効果を説明します。

100g中に含まれる食品成分(文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより)

エネルギー37kcal
水分89.1g
タンパク質4.0g
脂質0.3g
炭水化物5.7g
灰分0.8g

カルシウム

骨の発育と維持のために重要な栄養素です。リンと密接に関係しているため、バランスよく摂取することが大切です。また、カルシウムは過剰も欠乏も尿路結石症のリスクを高めるため注意が必要です。

ビタミンA

新しい皮膚が作られ剥がれ落ちるまでのサイクル(ターンオーバー)が崩れると皮膚疾患の原因にもなります。ビタミンAはターンオーバーの周期バランスを調節する作用が期待できます。

ビタミンB1

ビタミンB1(チアミン)はアセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質の合成と関係があると言われており、神経系の機能を正常に保つために必要な栄養素です。

ビタミンB2

ビタミンB2は、皮膚の健康維持や被毛の質を高めることが期待できます。また、欠乏すると皮膚や被毛が乾燥し、光線過敏症を起こすこともありますので注意が必要です。

乳酸菌

乳酸菌は、善玉菌として腸内環境をサポートする他、近年では死菌(死んでしまった乳酸菌)であってもバイオジェニックスとして善玉菌を増やす作用が期待されています。

ヨーグルトの犬に対する有効成分
・カルシウム
・ビタミンA
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・乳酸菌

犬の下痢にヨーグルトは効果的?

犬の下痢にヨーグルトは効果的?

ヨーグルト100gに含まれる乳酸菌量は、厚生労働省の定めによると10億個以上が含まれています。

腸内には善玉菌、悪玉菌、日和見菌といった菌が存在し、それぞれのバランスが崩れると下痢になりやすくなります。下痢になりにくい腸を作るためには善玉菌を増やすことが大切になってきます。

そのため、ヨーグルトを通して善玉菌である乳酸菌を摂取することで、犬の腸内環境を整える働きが期待できます。また、乳酸菌の摂りすぎにより下痢になる犬もいますので、その点は注意して下さい。

ヨーグルトを摂取する際は、善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維やオリゴ糖を一緒に摂取することで、効果的に善玉菌を増やすことができるためおすすめです。

食物繊維には水溶性の他に不溶性食物繊維がありますが、犬は草食動物のように発酵槽を持たないため、不溶性食物繊維はすぐに大腸を通過してしまいます。

そのため、不溶性食物繊維は善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える効果は発揮し難いと言われています(※)。その点、食物繊維を選ぶ際は水溶性であるか不溶性であるかを確認しましょう。

※ 石岡 克己 (2021) “犬と猫における消化器疾患と栄養”

犬の下痢にヨーグルトは効果的?
・ヨーグルト100gには10億個以上の乳酸菌が含まれており、犬の腸内環境を整える働きが期待できます。
・ヨーグルトと一緒に、水溶性食物繊維やオリゴ糖を摂ることで、効率的に善玉菌を増やせます。
・不溶性食物繊維は、犬においては腸内環境を整える効果は発揮し難いため、食物繊維は水溶性を選びましょう。

犬のこんな下痢にヨーグルトはNG

犬のこんな下痢にヨーグルトはNG

腸内環境の乱れにより下痢をしやすい犬には、下痢になりにくい腸内環境を作る目的でヨーグルトを与えることは良いです。

一方で、愛犬の下痢が続いている場合かなり水っぽい下痢をしているなど、下記の症状がある場合は病気やウイルス感染などによる下痢の可能性があります。

そんな下痢にヨーグルトは決して有効ではありません。必ず動物病院に相談してみることをおすすめします。

こんな時は動物病院に相談
・下痢を何日も続いている
・かなり水っぽい下痢をしている
・血が混ざっていたり、色が黒い便をしている
・体重が減少している

犬にヨーグルトを与える際の注意点

犬にヨーグルトを与える際の注意点

乳製品アレルギーがある犬

過去に乳製品を食べてアレルギーが出てしまった場合は、ヨーグルトは控えた方が良いです。乳製品アレルギーがある犬にヨーグルトを与えると、下痢や嘔吐、皮膚疾患を引き起こす原因になります。

乳糖不耐症の犬

乳製品を食べて下痢を引き起こす原因の多くは、犬は乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が少ない傾向にあるからです。

ヨーグルトに含まれる乳糖は牛乳には100gあたり4.4g、プレーンヨーグルトには100gあたり2.9g(※)であり、少ないとは言えない量ですので、乳糖不耐症の犬には注意して下さい。

また、乳糖不耐症であるかわからない場合は、一度に多くを与えずにまずは少量だけ与えて様子を見てあげて下さい。

※文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編

ヨーグルトを冷やし過ぎない

特にお腹の弱い犬に注意して頂きたいのが、冷やし過ぎないことです。冷えた食べ物は犬にとって胃腸の負担となるため、下痢の原因になります。温度は出来るだけ常温に近づけてから食べさせてください。

ヨーグルトを与える量

ヨーグルトは100gあたり37kcalのエネルギーを含みます。低カロリーではありますが、与えすぎることでカロリー過多とならないように注意しましょう。

また、乳酸菌の摂りすぎにより下痢になる犬もいますので、与える際は量の調整を意識してあげて下さい。

犬は体型や活動量など、個体によって1日に必要なカロリーが異なります。愛犬が1日に必要なカロリーを把握することで、おやつや食事の量を適切にコントロールしてあげましょう。

▼愛犬の1日に必要なカロリーを知るには下記記事がオススメです。

ヨーグルトを与える際の注意点
・乳製品アレルギーがある犬
・乳糖不耐症の犬
・ヨーグルトを冷やしすぎない
・ヨーグルトを与える量

まとめ

犬の下痢にヨーグルトが有効ですか?という質問を良く頂くため、栄養学的な観点でまとめました。
・ヨーグルトにはカルシウム、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、乳酸菌が含まれています。
・ヨーグルトを食べることで、善玉菌を増やして腸内環境を整える働きがありますが、食べ過ぎは下痢の原因になるため注意してください。
・下痢が続いている場合やかなり水っぽいひどい下痢をしている場合はヨーグルトを与えず、まずは病院に相談することをおすすめします。
・ヨーグルトを与える際は、乳製品アレルギーがある犬、乳糖不耐症の犬、冷やしすぎない、ヨーグルトを与える種類と量には気をつけましょう。

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