犬に大根を与えると下痢になる!?栄養学的にペット栄養管理士が解説

犬に大根を与えると下痢になる!?栄養学的にペット栄養管理士が解説

ペット栄養管理士_高山裕紀

高山裕紀
ペット栄養管理士

大根はビタミンや食物繊維を多く含み、水分量も多い野菜です。しかし、大根には食物繊維を多く含むため下痢や軟便になるのでは?と考えている方もいらっしゃるかと思います。

しかし、大根は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランス良く含むため、犬の腸内環境には良い野菜です。この記事では大根の正しい与え方や注意事項についてもまとめました。

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そもそも犬は大根を食べられる?

そもそも犬は大根を食べられる?

大根は与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。大根に含まれるイソチオシアネートという成分は、お腹に弱い犬には下痢や嘔吐の原因になるため、初めて与えてあげる場合は少量からにしましょう。

また、大根は根(白い部分)も葉(緑の部分)も共に犬に与えて問題ありませんので、料理にも使いやすい食材です。

そもそも犬は大根を食べられる?
・イソチオシアネートという成分があるため、初めて与える場合は少量から。
・大根は根(白い部分)も葉(緑の部分)も共に犬に与えて問題なし。

大根の犬に対する有効成分と効能

大根の犬に対する有効成分と効能

大根はビタミンや食物繊維を豊富に多く含み犬にとって健康に良い野菜です。ここでは大根(皮なし)の栄養成分とその効果についてまとめています。

100g中に含まれる食品成分(文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより)

エネルギー25kcal
水分90.5g
タンパク質0.6g
脂質0.2g
炭水化物8.0g
灰分0.6g

β-カロテン

βカロテンは犬の体内でビタミンAに変換され、視力や皮膚・粘膜の健康を維持します。 また、抗酸化作用を持つため免疫力を維持する働きも期待できます。

ビタミンC(アスコルビン酸)

ビタミンの中でも強い抗酸化作用を持ち、免疫力を維持する働きが期待できます。また、犬の皮膚や関節に重要な成分であるコラーゲンとの関わりが強いと言われており、皮膚や関節の健康維持も期待されています。

ビタミンB9(葉酸)

ビタミンB9は、細胞の形成を助けたり、胎児の発育に役立つ働きをします。血液を作る働きにも関与しており、不足すると貧血などを起こす恐れがあります。

カリウム

カリウムは神経系の働きに重要な役割を持つミネラルです。過剰なナトリウム(塩分)を体外へ排出することで、血圧を安定させる効果もあります。

食物繊維

食物繊維は腸内で善玉菌のエサになることで腸内環境を整える効果があります。食物繊維は不溶性と水溶性がありますが、大根に含まれる水溶性食物繊維は糖質の吸収をゆるやかにすることで、食後の血糖値上昇を抑えます。

大根の栄養素
・βカロテン
・ビタミンC(アスコルビン酸)
・ビタミンB9(葉酸)
・カリウム
・食物繊維

犬に大根を与えると下痢になる?

犬に大根を与えると下痢になる?

食物繊維には水溶性食物繊維不溶性食物繊維があります。大根100gには0.5gの水溶性食物繊維と0.9gの不溶性食物繊維が含まれています

水溶性食物繊維は体内で水に溶けてゲル状になり便を柔らかくします。そのため、水溶性食物繊維を摂りすぎると下痢になりやすいです。

一方で、不溶性食物繊維は、便の量を増やして大腸を刺激することで排便を促します。そのため、不溶性食物繊維を摂りすぎると便秘になりやすいです。

大根は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランス良く含むため、犬の腸内環境を整える目的でとても良い食材です。しかし、水溶性食物繊維の働きで与えすぎは下痢の原因になりますので、与える量には注意が必要です。

犬に対する不溶性食物繊維の働きは?

不溶性食物繊維も多く含む大根ですが、犬は草食動物のように発酵槽を持たないため、不溶性食物繊維はすぐに大腸を通過してしまい、善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える効果は発揮し難いと言われています(※)。

※ 石岡 克己 (2021) “犬と猫における消化器疾患と栄養”

犬に大根を与えると下痢になる?
・大根には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれている。
・大根は犬の腸内環境を整える目的でとても良い食材。
・与えすぎは下痢の原因になるため、注意が必要。

犬に大根を与える際の注意点

犬に大根を与える際の注意点

腎臓や心臓に疾患がある犬

大根は野菜の中でもカリウムを豊富に含んでいます。愛犬の腎臓機能に疾患があると大根に含まれるカリウムが溜まりやすくなり、不整脈など心臓に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、愛犬に腎臓や心臓に疾患がある場合は注意しましょう。

甲状腺機能低下症の犬

大根にはゴイトロゲンという成分が含まれています。ゴイトロゲンは甲状腺ホルモンの分泌を妨げる成分であるため、既に甲状腺機能低下症である犬には与えない方が良いでしょう。

お腹の弱い犬

先述の通り、大根にはイソチオシアネートという成分が含まれています。イソチオシアネートは抗菌・殺菌作用を持つ良い成分である一方で、胃腸への刺激があるため下痢や嘔吐の原因にもなります。

そのため、大根を初めて与える際は少量からにしましょう。

大根を与える量

大根は100gあた約25kcalのエネルギーを含みます。低カロリーだからと言って与えすぎると、水分量が多いため下痢の原因にも繋がります。

犬は体型や活動量など、個体によって1日に必要なカロリーが異なります。愛犬が1日に必要なカロリーを把握することで、おやつや食事の量を適切にコントロールしてあげましょう。

▼愛犬の1日に必要なカロリーを知るには下記記事がオススメです。

大根を与える際の注意点
・腎臓や心臓に疾患がある犬
・甲状腺機能低下症の犬
・お腹の弱い犬
・大根を与える量

まとめ

・大根は与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。大根は根(白い部分)も葉(緑の部分)も共に与えることができます。
・大根には犬の健康に良い栄養素を多く含むオススメの野菜です。βカロテン、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンB9(葉酸)、カリウム、食物繊維といった栄養素を含みます。
・大根は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランス良く含むため、犬の腸内環境を整える目的でとても良い食材です。
・大根を与える際は、腎臓や心臓に疾患がある犬、甲状腺機能低下症の犬、お腹の弱い犬、大根を与える量には気をつけましょう。

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