みかんはビタミンやミネラル、食物繊維など犬にとって体に良い果物です。また、水分量も多いため熱中症対策に与えることもできます。しかし、みかんには食物繊維を多く含むため下痢や軟便になるのでは?と考えている方もいらっしゃるかと思います。
みかんは食物繊維をバランス良く含み、むしろ犬の下痢に効果があると考えられます。しかし、与え方によっては逆効果となりますので、この記事ではみかんの正しい与え方や注意事項についてもまとめました。
そもそも犬はみかんを食べられる?
みかんは与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。外皮やヘタは消化に悪く下痢や嘔吐の原因になるため、与える際はしっかり取り除きましょう。
また、みかんの加工品や飲み物は糖分を多く含むだけではなく、カロリーも高いため与えることをおすすめしません。
そもそも犬はみかんを食べられる?
・みかんは犬に与えても問題なし。
・外皮やヘタは消化に悪く下痢や嘔吐の原因になるため、与えてはいけない。
・みかんの加工品や飲み物は糖分やカロリーの観点からおすすめしない。
みかんの犬に対する有効成分と効能
みかんの果肉の成分は約90%が水分でビタミンを多く含み、みかんは犬にとって健康に良い果物です。ここではみかんの栄養成分とその効果についてまとめています。
砂じょうとはみかんの果肉を指し、じょうのうとはみかんの果肉を包む薄皮を指します。
100g中に含まれる食品成分(文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより)
砂じょう(果肉) | じょうのう(薄皮) | |
エネルギー | 49kcal | 49kcal |
水分 | 87.4g | 86.9g |
タンパク質 | 0.7g | 0.7g |
脂質 | 0.1g | 0.1g |
炭水化物 | 12.0g | 11.5g |
灰分 | 0.3g | 0.3g |
βークリプトキサンチン(ビタミンA)
新しい皮膚が作られ剥がれ落ちるまでのサイクル(ターンオーバー)が崩れると皮膚疾患の原因にもなります。ビタミンAはターンオーバーの周期バランスを調節する作用が期待できます。
ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンCはビタミンの中でも強い抗酸化作用を持ち、免疫力を維持する働きが期待できます。また、犬の皮膚や関節に重要な成分であるコラーゲンとの関わりが強いと言われており、皮膚や関節の健康維持も期待されています。
カリウム
カリウムは神経系の働きに重要な役割を持つミネラルです。過剰なナトリウム(塩分)を体外へ排出することで、血圧を安定させる効果もあります。
食物繊維
食物繊維は腸内で善玉菌のエサになることで腸内環境を整える効果があります。食物繊維は不溶性と水溶性がありますが、みかんに含まれる水溶性食物繊維は糖質の吸収をゆるやかにすることで、食後の血糖値上昇を抑えます。
みかんの栄養素
・βークリプトキサンチン(ビタミンA)
・ビタミンC(アスコルビン酸)
・カリウム
・食物繊維
犬にみかんを与えると下痢になる?
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。みかん100gには0.3gの水溶性食物繊維(ペクチン)と0.4gの不溶性食物繊維が含まれています。
水溶性食物繊維は体内で水に溶けてゲル状になり便を柔らかくします。そのため、水溶性食物繊維を摂りすぎると下痢になりやすいです。
一方で、不溶性食物繊維は、便の量を増やして大腸を刺激することで排便を促します。そのため、不溶性食物繊維を摂りすぎると便秘になりやすいです。
みかんに含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)は、善玉菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあります。そのため、みかんは腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には効果が期待できると言えます。
犬に対する不溶性食物繊維の働きは?
不溶性食物繊維も含むみかんですが、犬は草食動物のように発酵槽を持たないため、不溶性食物繊維はすぐに大腸を通過してしまい、善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える効果は発揮し難いと言われています(※)。
※ 石岡 克己 (2021) “犬と猫における消化器疾患と栄養”
犬にみかんを与えると下痢になる?
・みかんには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれています。
・みかんに含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)は、善玉菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあります。
・みかんは腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には効果が期待できると言えます。
犬にみかんを与える際の注意点
腎臓や心臓に疾患がある犬
みかんは果物の中でもカリウムを豊富に含んでいます。愛犬の腎臓機能に疾患があるとみかんに含まれるカリウムが溜まりやすくなり、不整脈など心臓に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、愛犬に腎臓や心臓に疾患がある場合は注意しましょう。
果物アレルギーがある犬
アレルギーの症状は、皮膚疾患、下痢や嘔吐が代表的です。過去に果物でアレルギーが発症したことがある犬は注意が必要です。
初めて与える際は少量のみ与えて様子を観察してみてください。下痢や嘔吐などがみられる場合は与えるのを止め、動物病院で診てもらうことをおすすめします。
冷やし過ぎない
特にお腹の弱い犬に注意して頂きたいのが、冷やし過ぎないことです。冷えた食べ物は犬にとって胃腸の負担となるため、下痢の原因になります。温度は出来るだけ常温に近づけてから食べさせてください。
みかんを与える量
みかんは100gあたり約49kcalのエネルギーを含みます。そのため、与えすぎることでカロリー過多とならないように注意しましょう。
犬は体型や活動量など、個体によって1日に必要なカロリーが異なります。愛犬が1日に必要なカロリーを把握することで、おやつや食事の量を適切にコントロールしてあげましょう。
▼愛犬の1日に必要なカロリーを知るには下記記事がオススメです。
みかんを与える際の注意点
・腎臓病や心臓病の犬
・果物アレルギーがある犬
・冷やしすぎない
・みかんを与える量
まとめ
・みかんは与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。外皮やヘタは消化に悪いため取り除きましょう。
・みかんには犬の健康に良い栄養素を多く含むオススメの果物です。βークリプトキサンチン(ビタミンA)、ビタミンC(アスコルビン酸)、カリウム、食物繊維といった栄養素を含みます。
・みかんに含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)の働きにより、みかんは腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には効果が期待できると言えます。
・みかんを与える際は、腎臓病や心臓病の犬、果物アレルギーがある犬、冷やしすぎない、与える量には気をつけましょう。