かぼちゃはβ-カロテンやビタミンB群などビタミンを多く含む野菜です。しかし、かぼちゃには食物繊維を多く含むため下痢や軟便になるのでは?と考えている方もいらっしゃるかと思います。
むしろかぼちゃは不溶性食物繊維を比較的多く含むため、摂りすぎることで下痢ではなく便秘になる可能性があります。この記事ではかぼちゃの正しい与え方や注意事項についてもまとめました。
そもそも犬はかぼちゃを食べられる?
かぼちゃは与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。生のかぼちゃは消化に悪く、多く与えると下痢や嘔吐の原因になるため、必ず加熱して与えてあげましょう。
また、かぼちゃの皮や種も同様に消化に悪いですので、取り除いてから与えてあげましょう。
そもそも犬はかぼちゃを食べられる?
・かぼちゃは犬に与えても問題なし。
・生のままは消化に悪いため、必ず加熱して与える。
・かぼちゃの皮や種も消化に悪いため取り除く。
かぼちゃの犬に対する有効成分と効能
かぼちゃはビタミンや食物繊維を豊富に多く含み犬にとって健康に良い野菜です。ここではかぼちゃ(ゆで)の栄養成分とその効果についてまとめています。
100g中に含まれる食品成分(文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより)
エネルギー | 50kcal |
水分 | 84.0g |
タンパク質 | 1.9g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 13.3g |
灰分 | 0.7g |
β-カロテン
βカロテンは犬の体内でビタミンAに変換され、視力や皮膚・粘膜の健康を維持します。 また、抗酸化作用を持つため免疫力を維持する働きも期待できます。
ビタミンB1(チアミン)
ビタミンB1はアセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質の合成と関係があると言われており、神経系の機能を正常に保つために必要な栄養素です。
ビタミンB2(リボフラミン)
ビタミンB2は、皮膚の健康維持や被毛の質を高めることが期待できます。また、欠乏すると皮膚や被毛が乾燥し、光線過敏症を起こすこともありますので注意が必要です。
ビタミンE
ビタミンEはフードの酸化防止剤にも利用されるように、抗酸化作用を持つため細胞膜の酸化や老化を防ぐことのできるビタミンです。
カリウム
カリウムは神経系の働きに重要な役割を持つミネラルです。過剰なナトリウム(塩分)を体外へ排出することで、血圧を安定させる効果もあります。
食物繊維
食物繊維は腸内で善玉菌のエサになることで腸内環境を整える効果があります。食物繊維は不溶性と水溶性がありますが、かぼちゃに含まれる水溶性食物繊維は糖質の吸収をゆるやかにすることで、食後の血糖値上昇を抑えます。
かぼちゃの栄養素
・βカロテン
・ビタミンB1(チアミン)
・ビタミンB2(リボフラミン)
・ビタミンE
・カリウム
・食物繊維
犬にかぼちゃを与えると下痢になる?
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。かぼちゃ100gには0.7gの水溶性食物繊維と2.1gの不溶性食物繊維が含まれています。
水溶性食物繊維は体内で水に溶けてゲル状になり便を柔らかくします。そのため、水溶性食物繊維を摂りすぎると下痢になりやすいです。
一方で、不溶性食物繊維は、便の量を増やして大腸を刺激することで排便を促します。そのため、不溶性食物繊維を摂りすぎると便秘になりやすいです。
かぼちゃは不溶性食物繊維を比較的多く含むため、摂りすぎることで下痢ではなく便秘になる可能性があります。しかし、普段から軟便の犬には便の硬さを整えるという意味で与えても良いでしょう。
犬に対する不溶性食物繊維の働きは?
不溶性食物繊維も多く含むかぼちゃですが、犬は草食動物のように発酵槽を持たないため、不溶性食物繊維はすぐに大腸を通過してしまい、善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える効果は発揮し難いと言われています(※)。
※ 石岡 克己 (2021) “犬と猫における消化器疾患と栄養”
犬にかぼちゃを与えると下痢になる?
・かぼちゃには不溶性食物繊維が比較的多く含まれている。
・かぼちゃに含まれる不溶性食物繊維は、便の量を増やして大腸を刺激することで排便を促す。
・不溶性食物繊維は、摂りすぎることで下痢ではなく便秘になる可能性がある。
犬にかぼちゃを与える際の注意点
腎臓や心臓に疾患がある犬
かぼちゃは野菜の中でもカリウムを豊富に含んでいます。愛犬の腎臓機能に疾患があるとかぼちゃに含まれるカリウムが溜まりやすくなり、不整脈など心臓に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、愛犬に腎臓や心臓に疾患がある場合は注意しましょう。
甲状腺機能低下症の犬
かぼちゃにはゴイトロゲンという成分が含まれています。ゴイトロゲンは甲状腺ホルモンの分泌を妨げる成分であるため、既に甲状腺機能低下症である犬には与えない方が良いでしょう。
消化不良による下痢や嘔吐
先述の通り、生のかぼちゃは消化に悪いため下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。消化機能が弱いパピーやシニアの犬には加熱してあげましょう。成犬であっても極力加熱してあげることをおすすめします。
かぼちゃを与える量
かぼちゃは100gあた約13kcalのエネルギーを含みます。低カロリーだからと言って与えすぎると、水分量が多いため下痢の原因にも繋がります。
犬は体型や活動量など、個体によって1日に必要なカロリーが異なります。愛犬が1日に必要なカロリーを把握することで、おやつや食事の量を適切にコントロールしてあげましょう。
▼愛犬の1日に必要なカロリーを知るには下記記事がオススメです。
かぼちゃを与える際の注意点
・腎臓や心臓に疾患がある犬
・甲状腺機能低下症の犬
・消化不良による下痢や嘔吐
・かぼちゃを与える量
まとめ
・かぼちゃは与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。生のままは消化に悪いため、極力加熱して与えましょう。
・かぼちゃには犬の健康に良い栄養素を多く含むオススメの野菜です。βカロテン、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラミン)、ビタミンE、カリウム、食物繊維といった栄養素を含みます。
・かぼちゃは不溶性食物繊維を比較的多く含むため、摂りすぎることで下痢ではなく便秘になる可能性があります。
・かぼちゃを与える際は、腎臓や心臓に疾患がある犬、甲状腺機能低下症の犬、消化不良による下痢や嘔吐、かぼちゃを与える量には気をつけましょう。