早速今日の本題です。ドッグフードやキャットフードの栄養基準の見直しや獣医学の発展に伴い犬や猫の平均寿命は年々増加しています。ペットフード協会が2021年に発表した調査では犬の平均寿命が14.65歳、猫の平均寿命が16.22歳という結果でした(2021年 全国犬猫飼育実態調査結果)。これからも長く健康に生きてもらうには、私たち自身が犬や猫に関する栄養素を理解することが大切です。そこで今日は、犬や猫が生きていく上で必要な必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)について解説し、犬猫に対するその効果やおすすめのサプリメントについてご紹介します。
そもそも脂肪酸って何?
・飽和脂肪酸
・不飽和脂肪酸
脂肪はエネルギー源としての役割やホルモンとして体の調子を整えるといった働きを持ちます。そして脂肪を構成する成分である脂肪酸は、「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」と大きく2つに分類することができます。
飽和脂肪酸
肉やバターなどの動物性脂肪に多く含まれ、常温では固まりやすく中性脂肪やコレステロールを増加させる作用があります。
不飽和脂肪酸
マグロやイワシなどの青魚や植物性油脂に多く含まれ、中でもオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は犬や猫の免疫機能や皮膚被毛の健康維持に大きく作用していると言われています。また、犬と猫はオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸を体内で作ることができないため、必ず食事から摂取する必要があり必須脂肪酸とよばれています。
犬や猫の必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の効果
・皮膚被毛・関節の健康維持
・心臓の健康維持
・腎臓の健康維持
・神経認知機能の健康維持
ドッグフードやキャットフード選びの際にも、必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸はよく目にしますよね。オメガ3脂肪酸は、植物由来のαリノレン酸、魚介由来のDHA・EPAの3つに分けられます。αリノレン酸やDHA・EPAという言葉はよく馴染みがあるのではないでしょうか。αリノレン酸は体内で吸収されるとDHA・EPAに変化しますので、ここではDHA・EPAによる効果をまとめました。
皮膚被毛・関節の健康維持
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の抗炎症作用によりアトピー性皮膚炎や関節炎に対する症状緩和が期待されています。
Bente K Saevik (2004). A randomized, controlled study to evaluate the steroid sparing effect of essential fatty acid supplementation in the treatment of canine atopic dermatitis
James K Roush (2006). Evaluation of the effects of dietary supplementation with fish oil omega-3 fatty acids on weight bearing in dogs with osteoarthritis
心臓の健康維持
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の抗凝血作用や血管拡張による降圧作用により、心機能の保護が期待されています。
L M Freeman (1998). Nutritional alterations and the effect of fish oil supplementation in dogs with heart failure
腎臓の健康維持
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の抗炎症作用により腎機能の保護が期待されています。
Scott A.Brown (1998). Beneficial effects of chronic administration of dietary ω-3 polyunsaturated fatty acids in dogs with renal insufficiency
神経・認知機能の健康維持
DHAは脳の神経細胞の構成成分であり、脳神経細胞を活性化させ情報伝達能力を向上させる働きがあります。動物においても多くの研究結果があることから、神経・認知機能のサポートが期待されています。
平林 美紀 (2004). 痴呆犬に対するω-3不飽和脂肪酸投与の臨床生理学的検討
犬や猫がオメガ3脂肪酸 (DHA・EPA) を摂取できるおすすめのサプリメント
・フィッシュオイル
・モエギイガイ
・オメガ3脂肪酸 (DHA・EPA) プラスアルファの組み合わせが大切
前述の通りオメガ3脂肪酸 (DHA・EPA) はマグロやイワシといった青魚に多く含まれています。しかし、日々手作り料理で必要なオメガ3脂肪酸 (DHA・EPA) を取り入れることは難しいですし、ドライフードには十分な量を配合することが難しいですので、サプリメントから取り入れることをおすすめします。オメガ3脂肪酸を多く含む食品としてはフィッシュオイルやモエギイガイが挙げられます。犬や猫向けに数多くの商品がありますので、どんな点に注意して選んだら良いかを記載しました。
フィッシュオイル
魚の油から抽出されたオイルで、マグロやサーモンのオイルをソフトカプセルに閉じ込めたタイプやオイルのまま与えるタイプがあります。オメガ3脂肪酸 (DHA・EPA) は酸化が天敵ですので、与えてすぐに食べてもらえない場合はソフトカプセルをおすすめします。
モエギイガイ
ニュージーランドで多く引き上げられる貝で、モエギイガイから熱をかけずに抽出された脂質には、DHAやEPAなどの脂肪酸が豊富に含まれています。モエギイガイを配合した商品には、ソフトカプセルに閉じ込めたタイプと錠剤タイプがあります。また、嗜好性という点ですと錠剤タイプの方が高い印象を受けますので、グルメな愛犬や愛猫には錠剤タイプがおすすめです。
オメガ3脂肪酸 (DHA・EPA) プラスアルファの組み合わせが大切
オメガ3脂肪酸 (DHA・EPA) はそれ単体でも様々な効果に関する研究成果がありますが、関節や筋肉など特化してケアしたいことに応じてグルコサミンを配合した商品や抗酸化作用を持つポリフェノールを配合した商品などがありますので、オメガ3脂肪酸 (DHA・EPA) プラスアルファの機能性成分で選ぶのが良いでしょう。