早速今日の本題です。猫は肉食動物ですのでタンパク質摂取はとても大切です。タンパク質はアミノ酸が結合してできていますが、猫が体内で作り出すことができない必須アミノ酸は食事から摂取しないといけません。
この記事では、必須アミノ酸の中でもタウリンが不足した場合に起こる症状と摂取できる食べ物についてご紹介します。
猫に必要不可欠な必須アミノ酸であるタウリンとは?
タンパク質とアミノ酸
タンパク質は身体を作る重要な3大栄養素の一つです。このタンパク質はアミノ酸が結合してできており、結合するアミノ酸は20種類あります。この20種類の中でも体内で十分な量を作り出すこと(合成)ができないアミノ酸を必須アミノ酸と呼びます。アミノ酸はバランスよく摂取することが大切ですので、どれも不足がないように摂ることが望ましいです。
必須アミノ酸
十分な量を体内で合成できないアミノ酸である必須アミノ酸ですが、動物によって必須の数は異なり、犬は10種類に対して猫はこの10種類+タウリンの11種類あります。このタウリンは動物の組織のみに存在するアミノ酸であるため、猫は必ず動物の肉からタウリンを摂取する必要があり、不足しがちな栄養素でもあります。
猫の必須アミノ酸
アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、バリン、ロイシン、メチオニン、スレオニン、リジン、トリプトファン、フェニルアラニン、タウリン
猫の必須アミノ酸
・必須アミノ酸とは体内で十分な量を作り出すことができないアミノ酸
・猫の必須アミノ酸は11種類:アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、バリン、ロイシン、メチオニン、スレオニン、リジン、トリプトファン、フェニルアラニン、タウリン
猫のタウリンが不足すると
タウリン欠乏症
タウリン欠乏症はタウリンの摂取不足によって引き起こし、網膜萎縮という目の病気のリスクを高めます。網膜萎縮は網膜が変化して視力障害を引き起こします。初期症状があまりなく、視力の低下や最悪の場合失明にもつながります。
また、タウリンの摂取不足は拡張型心筋症の発生リスクを高めることがわかっています。拡張型心筋症は心室の収縮機能が低下する病気で、初期症状があまりありません。そのため、呼吸困難などの明らかな症状が出るときにはかなり重症化しているケースが多いです。
タウリン欠乏症の注意点は?
昔のフードはタウリン不足が良くありましたが、最近のフードは必要なタウリンがしっかり含まれているため、総合栄養食を与えていれば基本的にタウリン不足の心配はいりません。
ドライフードの場合は総合栄養食の商品が多いですが、ウェットフードの場合は総合栄養食ではない商品が多く販売されていますので、ウェットフードの用途や目的をしっかり確認しましょう。
また、手作り食を与えていらっしゃる方もタウリンの不足がないかしっかり確認する必要があります。
・タウリン摂取不足により、様々な病気リスクを高める。
・総合栄養食を与えていれば心配不要。
猫が1日に必要なタウリン量は?
猫が1日に必要なタウリン量は、犬猫の世界的な栄養基準を定めるAAFCOによると、健康な成猫には毎日100kcalあたりドライフードが25mg、ウェットフードが50mg必要です(※)。
手作り食を与えている方は、ウェットフードの50mgを参考にすると良いでしょう。また、この量を満たすためには、猫の食事に含まれるタウリン量を確認し、必要であればタウリンサプリメントを利用するのが良いでしょう。
※ Association of American Feed Control Officials (2016) “2016 AAFCO Midyear Meeting Committee Reports”
・AAFCOでは100kcalあたりの猫のタウリン必要量をドライフードが25mg、ウェットフードが50mgと定めている。
・必要であればタウリンサプリメントを利用しても良い。
猫がタウリンを摂取できる食べ物
魚類
マグロ・カツオ・ブリ・アジはタウリンが豊富で猫が食べられる魚です。しかし、魚には不飽和脂肪酸が多く含まれており、与えすぎるとビタミンEの不足となりますので、与えすぎには注意してください。
貝類
貝類にはタウリンが豊富に含まれています。しかし、猫に与えられる貝類は限られており、ホタテやあさり、牡蠣は食べることができます。但し、与える際は必ず加熱をして下さい、
また、猫にとって消化性がそれほど高くないため与えすぎには注意が必要です。また、手作り食として与える際は魚類同様に他の食材との栄養バランスを意識しましょう。
肉類
猫の主食として代表的な肉類ですが、鶏肉・牛肉・豚肉に含まれるタウリン量は大きく異なり、中でも鶏肉に占めるタウリン量の割合が高いです。
鶏肉でも腿肉(もも肉)がタウリン含有量が多いため、肉類でのタウリン補給においては最もおすすめです。
100g中に含まれる畜肉の種類によるタウリン含有量の違い(近藤君夫、中島純子 (2007) “畜肉のタウリンについて”)
最大値 | 最小値 | 平均値 | |
鶏肉(腿肉) | 406.3mg | 69.3mg | 278.6mg |
牛肉(ロース) | 30.3mg | 13.0mg | 22.0mg |
鶏肉(横隔膜) | 62.3mg | 10.2mg | 30.2mg |
鶏肉の部位によるタウリン含有量の違い(近藤君夫、中島純子 (2007) “畜肉のタウリンについて”)
平均値 | |
手羽肉 | 97.1mg |
胸肉 | 28.9mg |
腿肉 | 412.6mg |
ささみ | 31.4mg |
猫がタウリンを摂取できる食べ物
魚類
・マグロ
・カツオ
・ブリ
・アジ
貝類
・ホタテ
・あさり
・牡蠣
肉類
・鶏肉
・牛肉
・豚肉
まとめ
・タウリンは猫の必須アミノ酸です。
・タウリンが不足すると、様々な病気のリスクをい高めます。
・AAFCOでは100kcalあたりの猫のタウリン必要量をドライフードが25mg、ウェットフードが50mgと定めている。
・猫がタウリンを摂取できる食べ物として、魚類、貝類、肉類を紹介しました。