いちごはビタミンCや食物繊維など犬にとって体に良い成分を含む果物です。。しかし、いちごには食物繊維を多く含むため下痢や軟便になるのでは?と考えている方もいらっしゃるかと思います。
いちごは水溶性食物繊維を多く含み、正しく与えることで犬の下痢に効果があると考えられます。しかし、下痢の状態によっては逆効果にもなりますので、この記事ではいちごの正しい与え方や注意事項についてもまとめました。
そもそも犬はいちごを食べられる?
いちごは与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。ヘタは消化に悪く下痢や嘔吐の原因になるため、与える際はしっかり取り除きましょう。
また、いちごジャムなどの加工品は糖分を多く含むだけではなく、カロリーも高いため与えることをおすすめしません。
そもそもいちごを食べられる?
・いちごは犬に与えても問題なし。
・ヘタは消化に悪く下痢や嘔吐の原因になるため、与えてはいけない。
・いちごジャムなどの加工品は糖分やカロリーの観点からおすすめしない。
いちごの犬に対する有効成分と効能
いちごはビタミンCやアントシアニンなど、犬の健康を守る成分を多く含む果物です。ここではいちごの栄養成分とその効果についてまとめています。
100g中に含まれる食品成分(文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより)
エネルギー | 31kcal |
水分 | 90.0g |
タンパク質 | 0.9g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 8.5g |
灰分 | 0.5g |
ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンCはビタミンの中でも強い抗酸化作用を持ち、免疫力を維持する働きが期待できます。また、犬の皮膚や関節に重要な成分であるコラーゲンとの関わりが強いと言われており、皮膚や関節の健康維持も期待されています。
食物繊維
食物繊維は腸内で善玉菌のエサになることで腸内環境を整える効果があります。食物繊維は不溶性と水溶性がありますが、いちごに含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)は糖質の吸収をゆるやかにすることで、食後の血糖値上昇を抑えます。
アントシアニン
アントシアニンはポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用を持つため、目の健康サポートに期待されている成分です。
カリウム
カリウムは神経系の働きに重要な役割を持つミネラルです。過剰なナトリウム(塩分)を体外へ排出することで、血圧を安定させる効果もあります。
いちごの栄養素
・ビタミンC(アスコルビン酸)
・食物繊維
・カテキン
・カリウム
犬にいちごを与えると下痢になる?
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。いちご100gには0.5gの水溶性食物繊維(ペクチン)と0.9gの不溶性食物繊維が含まれています。
水溶性食物繊維は体内で水に溶けてゲル状になり便を柔らかくします。そのため、水溶性食物繊維を摂りすぎると下痢になりやすいです。
一方で、不溶性食物繊維は、便の量を増やして大腸を刺激することで排便を促します。そのため、不溶性食物繊維を摂りすぎると便秘になりやすいです。
いちごに含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)が比較的多く含まれ、善玉菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあります。そのため、いちごは腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には効果が期待できると言えます。
犬に対する不溶性食物繊維の働きは?
不溶性食物繊維も含むいちごですが、犬は草食動物のように発酵槽を持たないため、不溶性食物繊維はすぐに大腸を通過してしまい、善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える効果は発揮し難いと言われています(※)。
※ 石岡 克己 (2021) “犬と猫における消化器疾患と栄養”
犬にいちごを与えると下痢になる?
・いちごには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれています。
・いちごに含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)は、善玉菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあります。
・いちごは腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には効果が期待できると言えます。
犬にいちごを与える際の注意点
腎臓や心臓に疾患がある犬
いちごは果物の中でもカリウムを豊富に含んでいます。愛犬の腎臓機能に疾患があるといちごに含まれるカリウムが溜まりやすくなり、不整脈など心臓に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、愛犬に腎臓や心臓に疾患がある場合は注意しましょう。
バラ科アレルギーがある犬
いちごはりんごと同じバラ科の果物で、アレルギーの報告が多い食品です。アレルギーの症状は、皮膚疾患、下痢や嘔吐が代表的です。過去にバラ科の果物でアレルギーが発症したことがある犬は注意が必要です。
初めて与える際は少量のみ与えて様子を観察してみてください。下痢や嘔吐などがみられる場合は与えるのを止め、動物病院で診てもらうことをおすすめします。
冷やし過ぎない
特にお腹の弱い犬に注意して頂きたいのが、冷やし過ぎないことです。冷えた食べ物は犬にとって胃腸の負担となるため、下痢の原因になります。温度は出来るだけ常温に近づけてから食べさせてください。
いちごを与える量
いちごにはキシリトールを含みます。また、キシリトールは犬に与えてはいけません。しかし、いちごに含まれるキシリトールは微量であるため、与える量に注意すれば問題ありません。
実際にキシリトールは中毒症状を起こすことが報告されており、体重1kgあたり100mgが目安と言われています。いちごに含まれるキシリトールは100gあたり44mg(※)ですので、数粒程度であれば問題ないと言えます。
また、いちごは100gあたり31kcalのエネルギーを含みます。果物の中では比較的低カロリーですが、与える際にカロリーも意識しましょう。
犬は体型や活動量など、個体によって1日に必要なカロリーが異なります。愛犬が1日に必要なカロリーを把握することで、おやつや食事の量を適切にコントロールしてあげましょう。
※Kundimi Sreenath, Yeldur P Venkatesh (2010) “Quantification of xylitol in foods by an indirect competitive immunoassay”
▼愛犬の1日に必要なカロリーを知るには下記記事がオススメです。
いちごを与える際の注意点
・腎臓病や心臓病の犬
・バラ科アレルギーがある犬
・冷やしすぎない
・いちごを与える量
まとめ
・いちごは与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。ヘタは消化に悪いため取り除きましょう。
・いちごには犬の健康に良い栄養素を多く含むオススメの果物です。ビタミンC(アスコルビン酸)、食物繊維、カテキン、カリウムといった栄養素を含みます。
・いちごに含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)の働きにより、いちごは腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には効果が期待できると言えます。
・いちごを与える際は、腎臓病や心臓病の犬、バラ科アレルギーがある犬、冷やしすぎない、与える量には気をつけましょう。