
topet編集部
「猫の歯磨きを始めたいけれど嫌がってしまう」「毎日続けられない」と悩んでいませんか?
猫の歯磨きは、最初から上手に磨こうとする必要はありません。大切なのは、口元に触れられることや歯ブラシに慣れてもらい、歯磨きを日常の習慣にすることです。
この記事では、猫の歯磨きが必要な理由から、嫌がる猫に少しずつ慣れてもらう方法、歯磨きを習慣化するコツまで詳しく解説します。

猫の歯磨きはなぜ必要?
猫も人間と同じように、口の中に歯垢(プラーク)がたまります。歯垢の中には多くの細菌が含まれており、放置すると歯肉炎や歯周病の原因になります。一度固まって「歯石」になってしまうと、家庭のケアで取り除くことはできません。
実は、4歳以上の猫の50〜90%が何らかの歯のトラブルを抱えていると言われるほど、猫の口腔疾患はとても身近な問題です。WSAVA(世界小動物獣医師会)も、歯の健康が愛猫の生活の質(QOL)に大きく関わる重要課題として注意を呼びかけています。
だからこそ、歯垢が歯石になる前にケアすることが大切です。毎日の歯磨きは、家庭でできる最も基本的で効果的な予防法です。
猫の歯磨きを習慣化する3つのポイント
猫の歯磨きを成功させるためには、次の3つを意識しましょう。
少しずつ慣らす
いきなり歯ブラシを口に入れると、多くの猫は警戒します。まずは頬やあごに触れることから始め、口元、歯、歯ブラシという順番で少しずつ慣らしていくのが成功への近道です。
短時間で終える
最初から長時間行う必要はありません。数秒間でも落ち着いて受け入れてくれたら成功です。毎回無理なく終わらせることで歯磨きへの苦手意識を防げます。
嫌がる前に終了する
「あと少しだけ」と続けた結果、逃げられてしまうケースは少なくありません。歯磨きは嫌がる前に終わらせることで、「嫌なことをされた」という印象を残しにくくなります。

猫の歯磨きを習慣化する6つのステップ
ステップ1:頬やあごに触れる
最初は歯磨きではなく、スキンシップから始めます。猫がくつろいでいるときに、普段から触られ慣れている頬やあごの下を優しくなでましょう。
- 猫が自分から近づいてきたときに始める
- 数秒触れたら手を離す
- 嫌がる前に終了する
- 落ち着いていられたら、声かけや遊び、おやつで褒める
この段階では、口元まで触る必要はありません。飼い主さんに触れられても嫌なことが起きないと覚えてもらうことが目的です。
ステップ2:口の横や唇に触れる
頬やあごに触れられるようになったら、口の横に指先を添えます。慣れてきたら、唇をほんの少し持ち上げ、歯が見えたらすぐに手を離しましょう。
「口の横に触れる」「唇に触れる」「唇を少し持ち上げる」というように、動作を分けることがポイントです。
猫の顔を正面からつかんだり、体を押さえつけたりするのは避けてください。猫が顔を背けたり、離れたりできる余地を残しましょう。
ステップ3:歯に触れる
口元への接触に慣れたら、清潔な指先で歯に短時間触れてみます。最初は1本の歯に触れられれば十分です。
- 唇を少し持ち上げる
- 歯の表面に一瞬だけ触れる
- すぐに手を離す
- 落ち着いていれば褒めて終了する
慣れてきたら、湿らせたガーゼや猫用の歯磨きシートを使う方法もあります。ただし、ガーゼやシートは歯ブラシの代替とは限らず、歯と歯ぐきの境目の歯垢を十分に除去できないことがあります。
噛む可能性がある猫の口に無理に指を入れてはいけません。強く抵抗する場合は、すぐに中止しましょう。
ステップ4:歯ブラシに慣れる
歯に触れられるようになったら、歯ブラシを取り入れます。歯ブラシを見せた直後に磨き始めるのではなく、まずは見せる、置いておく、においを嗅がせるといった練習から始めましょう。
- 猫から少し離れた場所に歯ブラシを置く
- 自分から近づいてきたら褒める
- 口元に近づけるだけで終える
- 受け入れられたら、毛先を歯に一瞬当てる
歯ブラシを見て逃げる場合は、距離を戻します。怒る、威嚇する、強く抵抗する場合は、その日の練習を中止してください。
歯ブラシは、猫用の小さなヘッドで、毛が柔らかいものを選びましょう。人用歯磨き粉は、猫に有害な成分を含む可能性があるため使用せず、必要に応じて獣医師に相談のうえ、猫用製品を選んでください。
ステップ5:1〜2本の歯を磨く
歯ブラシを歯に当てられるようになったら、実際に磨きます。最初は犬歯や奥歯の外側など、比較的触れやすい場所から始めましょう。
歯と歯ぐきの境目を意識し、力を入れずに小さく動かします。初回の目標は、1〜2本を数秒で終えることです。
頭を引く、体がこわばる、耳を伏せる、しっぽを強く振る、逃げようとするなどの様子が見られたら、そこで終了します。無理に続けると、歯磨きへの警戒心が強くなることがあります。
慣れてきたら、少しずつ磨く本数や時間を増やしましょう。最終的には、歯の外側だけでなく、可能な範囲で口腔内全体をケアできる状態を目指します。
ステップ6:毎日のルーティンに組み込む
歯磨きを習慣化するには、毎回タイミングを考えなくてもよい流れをつくることが大切です。
スキンシップ → 歯磨き → ご褒美 → 終了
例えば、猫が落ち着いている夜に、頬やあごをなでてから短時間だけ歯を磨き、直後に褒めて終わります。
ただし、猫が眠っている、遊びに夢中になっている、機嫌が悪いといった場合は、予定を優先する必要はありません。落ち着いている別の時間に切り替えましょう。

猫の歯磨きの頻度はどのくらい?
歯垢は日々形成されるため、歯周病予防を目的とする家庭でのケアは、毎日行うことが理想です。特に、歯と歯ぐきの境目を継続的に清掃することが重要です。
ただし、歯磨きに慣れていない猫に、最初から毎日すべての歯を磨く必要はありません。まずは短時間の練習を無理のない範囲で続け、徐々に頻度と範囲を増やします。
毎日が難しい場合でも、できる範囲で継続することには意味があります。ただし、週に数回の歯磨きで十分な予防効果が得られると一律に断定することはできません。頻度が少ない場合は、歯垢が蓄積しやすくなる可能性があるため、できるだけ毎日のケアを目指しましょう。
歯磨きの頻度や方法は、猫の年齢、口腔内の状態、歯周病の有無によって異なります。すでに歯肉炎や歯石がある猫では、家庭での歯磨きだけで改善しないことがあるため、先に動物病院で診察を受けてください。
次のステップへ進む目安
次の段階へ進む目安は、同じ動作を繰り返しても猫が強く緊張したり、逃げたりしないことです。
| 猫の様子 | 対応 |
| 触れても落ち着いている | 同じ練習を繰り返し、少しずつ進める |
| 顔を背ける、体を引く | 動作や時間を小さくする |
| 歯ブラシを見ると逃げる | 離れた場所に置く段階へ戻る |
| 怒る、強く抵抗する | その日の練習を中止する |
| 急に歯磨きを嫌がる | 口の中の痛みを疑い、動物病院へ相談する |
短時間で終えられたことも成功です。毎日必ず練習することより、猫が落ち着いて受け入れられることを優先しましょう。

猫の歯磨きが続かないときの見直しポイント
猫の都合に合う時間を選ぶ
忙しい時間帯や、猫が眠っているときに始めると失敗しやすくなります。猫がくつろいでいる時間を選び、難しい日は頬をなでるだけで終えても構いません。
一度に多くを求めない
「今日は歯磨きをする」と決めると、すべての歯を磨きたくなります。しかし、猫にとっては大きな負担になることがあります。その日にできることを一つに絞り、成功したところで終了しましょう。
ご褒美は直後に与える
褒める、遊ぶ、おやつを与えるといったご褒美は、猫が落ち着いていられた直後に行います。おやつを使う場合は、量や食事とのバランスにも配慮してください。
歯ブラシや姿勢を見直す
膝の上が苦手な猫もいれば、床やソファの上で落ち着く猫もいます。場所や姿勢を固定せず、猫が自然にいられる方法を探しましょう。歯ブラシのヘッドが大きい、毛が硬いといった場合は、別の商品を試すのも方法です。
失敗したら前の段階に戻る
強く嫌がられた翌日は、歯ブラシを見せるだけ、頬をなでるだけなど、簡単な練習から再開します。失敗を取り返そうとして無理に磨くと、さらに警戒されることがあります。

歯磨きが難しい日は補助的なケアを
歯ブラシを受け入れることが難しい猫には、食事に取り入れられる補助的なケアを検討する方法もあります。
topetの「お口のふりかけ」は、いつものごはんにプラスするだけで手軽に始められるお口のケア用品です。専用ミルで削りたての香りと美味しさを届けられるため、毎日の食事と一緒に無理なく続けられるのが大きな魅力です。
こうした補助アイテムは、毎日の歯磨きと組み合わせることで、より充実したデンタルケアを発揮します。歯垢を物理的に落とす歯ブラシでのケアをベースに、上手に「お口のふりかけ」を取り入れていきましょう。愛猫に合ったケア製品を選ぶ際は、獣医師への相談や第三者機関による評価・表示をチェックしてみるのもおすすめです。
歯ぐきの赤みや腫れ、急な口臭、よだれ、食べにくそうな様子、口からの出血などがある場合は、ケア用品だけで対処せず、動物病院に相談してください。
受診の目安|歯磨きを始める前に確認したい症状
次のような症状がある場合は、歯磨きの練習を中止し、動物病院で診察を受けましょう。
- 歯ぐきが赤い、腫れている、出血する
- 口臭が急に強くなった、または持続している
- よだれが増えた、血が混じる
- 食べにくそうにする、食べる量が減った
- 硬いものを避ける、食べ物を口から落とす
- 口を気にして前足で触る
- 口を開けると痛がる、触られるのを嫌がる
- 顔やあごが腫れている
- 歯が折れている、ぐらついている
- 急に歯磨きや食事を嫌がる
- 元気がない、体重が減っている
これらは歯周病だけでなく、歯の吸収病変、口内炎、外傷、腫瘍など、別の病気でもみられることがあります。症状が強い場合や、食事や飲水ができない場合は、早めに受診してください。
歯石が目立つ場合も、家庭で無理に削ったり、器具で取ったりしないでください。歯の表面や歯ぐきを傷つけるおそれがあり、歯周ポケットの状態を確認できないためです。
症状がなくても、少なくとも定期的に動物病院で口腔内を確認してもらうと安心です。健康診断の頻度や歯科処置の必要性は、年齢や口腔内の状態によって異なります。

猫の歯磨きに関するFAQ
Q1.猫の歯磨きはいつから始めるとよいですか?
A.子猫のうちから口元に触れる練習を始めると、歯磨きにつなげやすくなります。成猫やシニア猫でも、口腔内に痛みや病気がないか確認しながら、段階的に練習できます。
Q2.歯磨きに慣れるまで何日かかりますか?
A.個体差があるため、一律にはいえません。数日で慣れる猫もいれば、数週間以上かかる猫もいます。日数より、落ち着いて受け入れられるかを基準にしましょう。
Q3.歯磨きは毎日必要ですか?
A.歯垢は日々形成されるため、歯周病予防を目的とする家庭でのケアは毎日が理想です。ただし、慣れていない猫に最初から長時間の歯磨きを行う必要はありません。短時間から始め、無理のない範囲で毎日の習慣を目指しましょう。毎日が難しい場合でも、できる範囲で継続することは大切ですが、週に何回行えば十分と一律に決めることはできません。口腔内に異常がある場合は、歯磨きの頻度を自己判断せず、獣医師に相談してください。
Q4.ガーゼだけでも歯磨きになりますか?
A.ガーゼで歯の表面を拭くことは補助的なケアになります。ただし、歯ブラシと同じように歯垢を除去できるとは限りません。可能であれば、猫用歯ブラシで歯と歯ぐきの境目を清掃することを目指しましょう。
Q5.歯石は歯磨きで取れますか?
A.歯ブラシで取れるのは主に歯垢です。硬くなった歯石は家庭での歯磨きでは除去できないため、動物病院で評価を受けてください。自宅で器具を使って削るのは危険です。
Q6.歯磨きを嫌がる猫に補助製品だけを使ってもよいですか?
A.補助製品は、歯磨きが難しい場合の選択肢の一つですが、歯ブラシによる歯垢除去の代わりにはなりません。製品の表示や使用方法を確認し、必要に応じて獣医師に相談してください。
Q7.歯磨きを嫌がるようになったら、しばらく休んでもよいですか?
A.強く嫌がる場合は、その日の練習を中止して構いません。再開するときは、口元に触れるだけなど、受け入れやすい段階に戻りましょう。急に嫌がるようになった場合や、食事・飲水にも変化がある場合は、口の中の痛みが原因の可能性があるため、動物病院に相談してください。
・普段のごはんと一緒によく噛んで食べることで、歯垢・口臭を軽減!
・粒を専用ミルにいれて2~3回擦りながら、ごはんにかけるだけで手間いらず。
・1日55円からはじめられる!
まとめ|猫の歯磨きは小さな成功の積み重ね
猫の歯磨きを習慣化するには、最初から完璧を目指さず、愛猫が受け入れられる動作を一つずつ増やすことが大切です。
- まずは頬やあごに触れる練習から始める
- 口元、歯、歯ブラシの順に段階的に進める
- 歯垢は日々形成されるため、歯磨きは毎日が理想
- 最初は数秒、1〜2本の歯を磨ければ十分
- 嫌がる前に終了し、できた直後に褒める
- 強く抵抗したら、ひとつ前の段階に戻る
- 歯石や口腔内の異常は、家庭で無理に処置しない
- 痛みや口腔内の異常が疑われる場合は動物病院へ相談する
今日できることが、頬に数秒触れるだけでも問題ありません。愛猫のペースに合わせ、小さな成功を積み重ねながら、お口のケアを習慣にしていきましょう。
参考文献・情報
・American Association of Feline Practitioners(AAFP)ほか:2025 FelineVMA Feline Oral Health and Dental Care Guidelines
・World Small Animal Veterinary Association(WSAVA):Global Dental Guidelines
・Veterinary Oral Health Council(VOHC):Brushing
※本記事は一般的な飼育情報を紹介するものであり、個々の猫の診断や治療に代わるものではありません。症状がある場合や、歯磨きの方法・頻度に迷う場合は、獣医師に相談してください。




