トマトはビタミンや食物繊維などを含むだけではなく、水分量が多いため水分補給にも適しています。しかし、トマトには食物繊維を多く含むため下痢や軟便になるのでは?と考えている方もいらっしゃるかと思います。
トマトには水溶性食物繊維(ペクチン)が比較的多く含まれますので、適切な量を与える分には、腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には寧ろ効果的です。この記事ではトマトの正しい与え方や注意事項についてもまとめました。
そもそも犬はトマトを食べられる?
トマトは与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。ヘタやトマトの熟していない青い部分は後述するトマチンが含まれており下痢や嘔吐の原因になるため、与える際は取り除きましょう。
また、喉に詰まらせないように、食べやすく細かくカットしてあげましょう。
そもそも犬はトマトを食べられる?
・トマトは犬に与えても問題なし。
・ヘタやトマトの熟していない青い部分は取り除く。
・食べやすいように細かくカット。
トマトの犬に対する有効成分と効能
トマトはビタミンや食物繊維を豊富に多く含み犬にとって健康に良い野菜です。ここではトマトとミニトマトの栄養成分とその効果についてまとめています。
100g中に含まれる食品成分(文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより)
トマト | ミニトマト | |
エネルギー | 20kcal | 30kcal |
水分 | 94.0g | 91.0g |
タンパク質 | 0.7g | 1.1g |
脂質 | 0.1g | 0.1g |
炭水化物 | 4.7g | 7.2g |
灰分 | 0.5g | 0.6g |
リコピン
リコピンは強い抗酸化作用を持ち、免疫力を維持する働きが期待できます。
β-カロテン
βカロテンは犬の体内でビタミンAに変換され、視力や皮膚・粘膜の健康を維持します。 また、抗酸化作用を持つため免疫力を維持する働きも期待できます。
ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンCはビタミンの中でも強い抗酸化作用を持ち、免疫力を維持する働きが期待できます。また、犬の皮膚や関節に重要な成分であるコラーゲンとの関わりが強いと言われており、皮膚や関節の健康維持も期待されています。
カリウム
カリウムは神経系の働きに重要な役割を持つミネラルです。過剰なナトリウム(塩分)を体外へ排出することで、血圧を安定させる効果もあります。
食物繊維
食物繊維は腸内で善玉菌のエサになることで腸内環境を整える効果があります。食物繊維は不溶性と水溶性がありますが、トマトに含まれる水溶性食物繊維は糖質の吸収をゆるやかにすることで、食後の血糖値上昇を抑えます。
トマトの栄養素
・リコピン
・βカロテン
・ビタミンC(アスコルビン酸)
・カリウム
・食物繊維
犬にトマトを与えると下痢になる?
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。トマト100gには0.3gの水溶性食物繊維と0.7gの不溶性食物繊維が含まれています。
水溶性食物繊維は体内で水に溶けてゲル状になり便を柔らかくします。そのため、水溶性食物繊維を摂りすぎると下痢になりやすいです。
一方で、不溶性食物繊維は、便の量を増やして大腸を刺激することで排便を促します。そのため、不溶性食物繊維を摂りすぎると便秘になりやすいです。
トマトには水溶性食物繊維(ペクチン)が比較的多く含まれ、善玉菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあります。そのため、トマトは腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には効果が期待できると言えます。
犬に対する不溶性食物繊維の働きは?
不溶性食物繊維も多く含むトマトですが、犬は草食動物のように発酵槽を持たないため、不溶性食物繊維はすぐに大腸を通過してしまい、善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える効果は発揮し難いと言われています(※)。
※ 石岡 克己 (2021) “犬と猫における消化器疾患と栄養”
犬にトマトを与えると下痢になる?
・トマトには不溶性食物繊維が比較的多く含まれている。
・トマトに含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)は、善玉菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあります。
・トマトは腸内環境の乱れが原因による下痢の犬には効果が期待できると言えます。
犬にトマトを与える際の注意点
腎臓や心臓に疾患がある犬
トマトは野菜の中でもカリウムを豊富に含んでいます。愛犬の腎臓機能に疾患があるとトマトに含まれるカリウムが溜まりやすくなり、不整脈など心臓に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、愛犬に腎臓や心臓に疾患がある場合は注意しましょう。
トマトのアレルギーがある犬
トマトはスギ花粉のアレルギーと相関があると言われています。初めて与える際は少量から与えてください。
トマチン(中毒物質)
トマトのヘタやトマトの熟していない青い部分にはトマチン(中毒物質)が含まれます。犬の限界摂取量は明確に定まっていませんが、ヘタや熟していない青い部分は避けてあげましょう。
冷やし過ぎない
特にお腹の弱い犬に注意して頂きたいのが、冷やし過ぎないことです。冷えた食べ物は犬にとって胃腸の負担となるため、下痢の原因になります。温度は出来るだけ常温に近づけてから食べさせてください。
トマトを与える量
トマトは100gあた約13kcalのエネルギーを含みます。低カロリーだからと言って与えすぎると、水分量が多いため下痢の原因にも繋がります。
犬は体型や活動量など、個体によって1日に必要なカロリーが異なります。愛犬が1日に必要なカロリーを把握することで、おやつや食事の量を適切にコントロールしてあげましょう。
▼愛犬の1日に必要なカロリーを知るには下記記事がオススメです。
トマトを与える際の注意点
・腎臓や心臓に疾患がある犬
・トマトのアレルギーがある犬
・トマチン
・冷やしすぎない
・トマトを与える量
まとめ
・トマトは与え方に注意すれば愛犬に与えても問題ありません。ヘタやトマトの熟していない青い部分は取り除きましょう。
・トマトには犬の健康に良い栄養素を多く含むオススメの野菜です。リコピン、βカロテン、ビタミンC(アスコルビン酸)、カリウム、食物繊維といった栄養素を含みます。
・トマトに含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)は、善玉菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあります。
・トマトを与える際は、腎臓や心臓に疾患がある犬、トマトアレルギーがある犬、トマチン、冷やしすぎない、トマトを与える量には気をつけましょう。